データバックアップソフトウェアは、ファイル、フォルダー、データベース、さらにはネットワークサーバー全体の複製を作成し、別の場所に保存するために利用できる。マルウェア攻撃や元のサイトでのデータ損失、あるいは元の保存場所に影響を及ぼす物理的な緊急事態に備え、データを保護することを目的としている。
ほとんどのバックアップソフトウェアには、定期的な更新機能とリカバリー機能も搭載されており、あらゆるファイルセットを最新バージョンに復元できる。
世界のバックアップソフトウェア市場について、詳しく見ていこう。
詳しくはこちら:最も優れたエンタープライズ向けバックアップソフトウェア
バックアップソフトウェア市場
世界のデータバックアップおよびリカバリーソフトウェア市場は2020年には9.4兆ドルと推定され、2020年から2027年までの分析期間における年平均成長率(CAGR)は8.9%を維持し、期間終了時には17.1兆ドルに達すると予測されている。
市場の注目すべきセグメントの1つであるデータ保持は、年平均成長率9.8%で推移し、分析期間終了時には7.4兆ドルに達すると予想されている。
地域別に見ると、世界のバックアップソフトウェア市場は次のように分類される。
- 米国市場は2020年に2.5兆ドルと推定され、シェアは26.5%だった
- 中国市場は年平均成長率13.5%で推移し、2027年には4兆ドルに達すると予測されている
- 日本とカナダは、予測期間中にそれぞれ年平均成長率4.8%と7.9%で成長すると予測されている
- 欧州では、ドイツが5.8%という最高水準の年平均成長率の1つを維持すると予測されている
- オーストラリア、インド、韓国が牽引するアジア太平洋セグメントは、2027年に24兆ドルに達すると予測されている
- 中南米セグメントは、分析期間中に年平均成長率9.3%で推移すると見込まれている
業界別では、世界のバックアップソフトウェア市場は2030年までに銀行・金融サービス・保険(BFSI)業界が中心になると予想されている。
そのほかの注目すべき業界には、次のものがある。
- IT・通信
- 小売
- 政府・公共部門
- ヘルスケア
- メディア・エンターテインメント
- 製造
- 教育
バックアップソフトウェアの機能
バックアップソフトウェアの基本的な役割は、データセットやファイルのコピーを定期的に作成するという、単純ながら重要な作業だ。ただし、ユースケースによって効率や速度が異なる、さまざまなバックアップ方式がある。
フルバックアップ
フルバックアップは、最もシンプルで包括的なバックアップ方式だ。対象のストレージ装置にあるすべてのファイル、フォルダー、アプリケーション、データベースのコピーを作成する。
フルバックアップの実行にかかる時間はデータ量に比例するため、最も時間のかかる方式の1つだ。ただし、データのリカバリーにかかる時間と手間は最小限で済む。
フルバックアップは、ハードドライブの全領域を対象とするベースバックアップとして最もよく利用され、その後にほかの種類のバックアップを追加してデータを最新の状態に保つ。
増分バックアップ
増分バックアップは単独では機能しない。フルバックアップに続く第2段階として利用される。完全なコピーが存在することを確認した後、増分バックアップによってデータと元のストレージに対する変更を定期的に更新する。
この方式は、時間とネットワーク帯域幅の消費を最小限に抑えられる。ただし、データのリカバリーはより複雑でリスクも高くなる。
気付かれないまま増分バックアップに1つでも失敗すると、データベースの残りの部分のリカバリーが妨げられる可能性がある。
差分バックアップ
差分バックアップ方式は、フルバックアップと増分バックアップの長所を兼ね備えている。
増分バックアップと同様、まずフルバックアップを作成する必要がある。その後、差分バックアップによって前回のバックアップ以降に変更されたファイルやフォルダーを更新し、常に完全なバックアップを維持する。
差分バックアップはフルバックアップより必要な容量が少なく、迅速かつ容易なデータリカバリーが可能になる一方、継続的に変更をバックアップするため、増分バックアップより多くの帯域幅を消費する。
AI搭載バックアップソフトウェア
バックアップソフトウェアソリューションは、ITインフラの重要な一部だ。データの重要性が増し、それを狙うサイバー攻撃やエクスプロイトがより悪質になるなか、バックアップソリューションも適応する必要がある。
バックアップソフトウェアに機械学習(ML)と人工知能(AI)のアルゴリズムを導入すれば、インシデント対応手順として機能させられる。効率を高め、コンピューティングリソースやIT要員への依存を減らす形で、バックアップとリカバリーのプロセスを自動化できる。
「大企業が管理するデータリポジトリの規模と複雑さが急速に増大していることを考えると、変化する要件に俊敏に対応できる効率的なバックアッププロセスを維持するうえで、こうしたツールは必須になる」Ramya Sriram氏(Kolabtreeのデジタルコンテンツおよびコミュニケーション担当マネージャー)は述べている。
「AIを活用したリカバリーおよびバックアップシステムには、インシデント対応チームが代替リソースやワークスペースを整理するのを支援するアルゴリズムを組み込める」
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バックアップソフトウェアのメリット
規模にかかわらず、データベースを運用するには定期的なバックアップが欠かせない。しかし、手作業で実行する場合と専用ソフトウェアに任せる場合を比べると、バックアップソフトウェアには次のような多くのメリットがある。
- 手作業にかかる時間を削減
- データ損失対策を自動化
- バックアッププロセスを保護
- データリカバリーを可能にする
- マルウェアやランサムウェア攻撃の被害を軽減
- スケジュールに沿ったデータバックアップを可能にする
「ディザスタリカバリープランの一環として、クラウド上にデータのバックアップを複数保持し、冗長性とレジリエンスを高めることが重要だ」Dave Friend氏(Forbes Technology Councilのメンバー)は述べている。
「これは多くの場合、組織がデータのコピーを3つ保持し、そのうち2つを異なるメディア形式で、1つをオフサイトで保管する『3-2-1』バックアップ戦略という形で実現される」
バックアップソフトウェアのユースケース
小規模企業から巨大企業や各種機関まで、組織では幅広いバックアップソリューションが利用されている。
Wise
Wiseは、世界で1,000万人以上が利用する国際送金をはじめ、従来の銀行に代わる金融ソリューションを提供している。英国に拠点を置くWiseは、個人や企業が仕事、旅行、貿易のために利用している。
デジタルインフラをAWS Cloudに、データベースをAmazon RDSに移行したWiseは、バックアップソリューションもAWS Cloudに移行する方法を必要としていた。
同じプロバイダーを使い続けるため、WiseはAmazon Backupを利用してAWS Storage GatewayのスナップショットをAWSに取り込んだ。タグ付けとテンプレートの機能を活用することで、Wiseはグローバル企業として変動するバックアップニーズに対応できるよう、運用を拡張できた。
「AWS Backupはセットアップも利用も非常に簡単だ。これまで使ってきたどのバックアップ製品よりもはるかに容易で、コンプライアンスを維持するために監査担当者が確認すべき情報を提示できる」Thomas Hewer氏(Wiseのテクノロジー責任者)は述べている。
「AWS Backupのプランを非常に短時間で立ち上げ、テンプレートとタグを設定したため、どのチームでも新しいリソースを適切なバックアッププランで自動的に保護できるようになった」。
AWSと連携することで、Wiseはデータ関連の法律や規制に準拠し、増大する需要に対応するため迅速に規模を拡大し、バックアップとリカバリーのプロセスを自動化できた。
Levitar
Levitarは、技術運用の設計、導入、管理、サポートを専門とする、企業向け総合ITソリューションのプロバイダーだ。オーストラリアのシドニーに拠点を置き、信頼性の高いテクノロジーを通じた卓越した顧客サービスの提供に取り組んでいる。
顧客基盤の変化と拡大するIT需要に対応するため、Levitarはサーバーとストレージのハードウェアのアップグレードに多額の費用をかけていた。
業務をIBM Cloud環境に移行することで、LevitarはIBMのクラウドベースのデータバックアップおよびディザスタリカバリーシステムに切り替えることができた。
「IBMは、ソリューションに必要な環境の柔軟性と制御性を提供してくれた唯一の地域クラウドプロバイダーだった」Bryce Jamie氏(LevitarのIBM Business Partner担当マネージングディレクター)は述べている。
「パートナーとなりESAを取得することは、当社だけでなく顧客にもメリットをもたらす。当社の専門知識、IBMのソフトウェア、IBM Cloudを1つのソリューション、1つの支払いにまとめられる。顧客はすべてについて1つの窓口を利用できる」
IBMと連携することで、Levitarは顧客のデータリカバリー時間を50%短縮し、導入期間を数週間から数時間に減らし、継続的な成長を支えられるようになった。
Evolutio
Evolutioは、5,600キロメートルを超える敷設済みネットワークと、3つのデータセンターにまたがる6,000台を超える仮想マシンを含む、クラウドおよびネットワークサービスの大手プロバイダーだ。マドリードに拠点を置くEvolutioは、270件を超えるセキュリティ認証を取得し、スペイン市場をリードしている。
サービス需要の増加を受け、Evolutioは多数のデータセンター向けに、リソース消費の少ないバックアップおよびセキュリティソリューションを必要としていた。
Microsoft 365のデータを保護するため、Evolutioは今後5年間の事業に十分な容量を備えたSaaSベースのバックアップソリューションを求め、Commvaultに相談した。
「Commvaultによるリストアの速度と容易さのおかげで、すべてのデータを復旧し、1日未満で業務を再開できた。事業継続性は事実上途切れなかった」Alain Rodriguez氏(Evolutioのサービス管理オフィス責任者)は述べている。
「Metallicは事実上数分で稼働させられた。これは、SaaSベースのバックアップソリューションに期待していた顧客体験だ」
Commvaultと連携することで、Evolutioは年間費用を20%削減し、Metallic Microsoft 365 Backupソリューションを数分で導入し、100%のデータセキュリティコンプライアンスを確保できた。
バックアップソフトウェアプロバイダー
世界市場におけるバックアップソフトウェアソリューションおよびサービスの主なプロバイダーには、次の企業がある。
- Code42
- NetApp
- Softland
- Veritas Technologies
- NTI Corporation
- Datto
- Acronis
- Commvault
- Strengthsoft
- StorageCraft
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