テープストレージは決して廃れてはいないものの、改善に取り組むベンダーは少なく、大手企業で話題に上ることもほとんどない。しかし、深刻な被害をもたらす多数のランサムウェア攻撃を受け、テープは機密データを保存するための選択肢となり得る。理想的なオフラインアーカイブソリューションであり、オフラインバックアップを求める企業にとって唯一の有効な選択肢ではないが、比較的安価な選択肢ではある。
しかし、テープには欠点もある。動作が遅いのだ。ただし、LTOテクノロジー向けのLinear Tape File System(LTFS)を使えば、テープストレージシステム内のデータ検索は高速化できる。また、テープは壊れやすく、データセンターやリモートストレージの管理者が細心の注意を払って管理しなければならない。すでにIBMとFujifilmのテープ分野での協業を分析したが、複数のベンダーが今なおLTOソリューションを販売している一方で、その数は急速に減少している。テープはランサムウェア対策のソリューションとなり得るが、いつまで存続するのだろうか。
テープストレージはランサムウェアからデータを守れるのか?
テープがランサムウェア攻撃から企業データを保護できる度合いは、次の2点に左右される。
- テープのコピーを含め、データのコピーがいくつ存在するか、そして
- テープがオンライン上にあるのか、データセンター内にあるのか、それとも完全にオフラインなのか。
この場合、オフラインバックアップを用意する目的は、ランサムウェアの攻撃者がそこへアクセスできないようにすることだ。ランサムウェアは、コンピューターシステムから盗み出したデータを暗号化し、そのデータを復元不可能にするマルウェアの一種である。ランサムウェア感染にはさまざまな原因があるが、メール内のリンクをクリックしたことがきっかけになるケースは多い。攻撃者は悪意のあるコードを仕込んだリンクを企業のメールに送り、できる限り正規のものに見せかける。また、パスワードを盗むなどして攻撃者がアカウントに侵入した場合にも、ランサムウェアによってシステムが攻撃される可能性がある。
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ランサムウェアがデータを取得するには、データがデジタルでアクセス可能な状態になっていなければならない。だからこそ、オフラインのテープストレージは潜在的なソリューションとなる。ランサムウェア・アズ・ア・サービスのプロバイダーからはまったくアクセスできないからだ。大規模なランサムウェア攻撃が勢いを増した2021年夏以降、複数のストレージ専門家が、テープによってランサムウェアからデータを保護できる可能性に言及している。テープとオフラインデータ保護に関するIBMのブリーフによると、テープはその保護を「提供する最も効果的で費用対効果の高い方法」である。IBMはまた、エアギャップ技術を使えば、テープに保存したデータをデータセンターのネットワークから容易に切り離し、ランサムウェアのプロバイダーから到達できない状態にできると説明している。
テープとランサムウェアをめぐる懸念
ただし、すべてのストレージ専門家がテープの耐久性を信頼しているわけではない。テープの運用にはソフトウェア管理が必要であり、その費用を財務面の計算に入れていないテープ支持者は少なくない。
ストレージ分野のライター兼技術者であるHenry Newmanは指摘しているように、ディスクもランサムウェア対策のために簡単にオフライン化でき、しかも安価である。多くの組織が今もテープを利用しているものの、テープ市場は縮小している。新しいLTO製品をリリースしているベンダーは、IBM、HPE、Quantumなどごくわずかだ。以前のテープベンダーは、何年も前から次々と市場から姿を消している。
これは、ランサムウェア対策の手段としてテープに居場所がないという意味ではない。損傷や災害に備えて異なる場所に2つ以上のオフラインテープコピーを保管すれば、機密データを保存する際のリスクを抑えられる可能性がある。しかし、テープストレージですべての復旧要件を満たせるわけではない。
最悪のシナリオが現実となり、企業がランサムウェア攻撃を受けたとしても、データ自体は手元に残るだろう。しかし、テープは復旧に非常に時間がかかるため、利用しているオフラインバックアップストレージの種類によって決まる、必要な目標復旧時間(RTO)に間に合うようデータを復旧できない可能性がある。その要件を満たせなければ、データがまだ利用可能かどうかはさほど重要ではない。ダウンタイムによって、事業に損失が生じる可能性は残る。
ランサムウェア時代におけるバックアップの重要性
ストレージ媒体の種類にかかわらず、オフラインデータを複数コピーしておくことは、企業がランサムウェアに対して確実に備えるうえで不可欠だ。適切に保管することを前提に、テープは長期保存に適した品質と低コストを実現するソリューションの1つである。しかし、復旧に時間がかかるため、高速な企業ストレージのニーズに対しては疑問の残る選択肢となる。アプリケーションデータをすぐに必要とする企業は、テープに保存したデータを十分な速さで復旧できないだろう。速度面では劣るものの、テープは深層アーカイブストレージとして堅実な選択肢であり、ランサムウェアの脅威から離れたオフライン環境でデータを保護するバックアップソリューションの1つにすぎない。
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