カリフォルニア州サンノゼに本拠を置くWestern Digitalの製品管理ディレクターを務めるMark Pastorは、エッジストレージおよびコールドストレージ向けプラットフォームに積極的に携わっている。Pastorは以前、Quantum CorporationとSeagateでさまざまな製品の定義と立ち上げを担当した。Pastorはカリフォルニア大学ロサンゼルス校で工学の学士号を取得している。現在はコロラド州コロラドスプリングスに拠点を置く。
クラウドコンピューティングとビッグデータの時代、データセンター管理者は重大な課題に直面している。
管理者は、今日起きている前例のないデータ生成量の急増に伴う、膨らみ続ける財務負担の軽減に取り組まなければならない。そのためには、データセンターから可能な限り効率を引き出す必要がある。同時に、技術革新と破壊的変化がかつてない規模で進む中、システムの将来性を確保し、柔軟性、適応性、拡張性も高めなければならない。
幸い、これらすべてに対応できるソリューションが存在する。
超接続環境を管理する:柔軟性が鍵
クラウドソリューションが広く普及し、オンプレミスとクラウドの両方のインフラを導入する企業が数え切れないほど増えた今、より機動的なシステムが求められている。ストレージ、コンピュート、ネットワークなどのリソースを分離することで、データセンターの運用者はそれぞれからより大きな価値と効率を引き出せるだけでなく、IT環境における変化する技術やユーザーの要求にも、迅速かつ低コストで対応できるようになる。
より機動的なシステムを構築する必要性から、コンポーザブル・ディスアグリゲーテッド・インフラストラクチャ(CDI)が受け入れられつつある。コンピュート、ネットワーク、ストレージのリソースを分離すれば、データセンターはそれらをプールし、必要なときに必要な場所で利用できる。
クラウドサービスがデータセンターを管理する方法と同様に、ディスアグリゲーションによってIT管理者は、コスト削減とリソースの可用性を高めるオンプレミスアーキテクチャを構築できる。これが特に明確に表れるのがデータストレージだ。
ストレージを分離することで、データセンター管理者はリソースを効率的に利用し、総保有コスト(TCO)を削減するとともに、技術の変化に適応するアーキテクチャを設計できる。
ストレージ拡張のためにサーバーを追加する方法がすべての組織に適しているわけではない
CDIは、長年にわたり広く利用されてきたストレージ方式とは大きく異なる。少し前まで、組織が新しいサーバーを購入してストレージ容量を拡張するのは一般的だった。サーバーの通常の3年保証を使い切ると、IT管理者はソリッドステートドライブ(SSD)も含め、サーバー全体を単純に交換することが多かった。しかし、それらのドライブの多くには5年保証が付いており、まだ十分に使える余地が残っていた。
当時としては、その考え方にも理屈はあった。新しいサーバーに古いドライブを取り付ける必要があるのか。しかし、それは同時に無駄が多く、コストのかかる選択でもあった。
ストレージとコンピュートを分離して別々のラックに配置すれば、新しいサーバーの購入による拡張に伴うこの問題を解消できる。CDI戦略により、管理者はサーバーと、ストレージを含む内部のさまざまなコンポーネントを個別に扱える。IT管理者は、CPUとメモリの要求に基づいてサーバーを交換できる。
CDIを利用すれば、追加のストレージ要件をサーバーのアップグレード判断に加味する必要はない。
アイドル状態や低利用率のリソースを再利用する
リソースの分離は、その他の重大な課題の解決にも役立つ。例えば現在、多くのIT機器やリソースが十分に活用されないままになっている。
大規模なクラウドデータセンターと同様に、オンプレミスのデータセンターでリソースを分離すれば、複数アプリケーションの要求に対する効率をさらに高められる。オンプレミス環境をディスアグリゲートすることで、データセンターはX台のアプリケーションサーバーをY台のストレージにわたって共有できる。
最大容量のストレージを搭載したサーバーに投資する代わりに、より機動的な方法として、リソースを分離し、プールからストレージを取り出して必要に応じてアプリケーションに割り当てる。プロジェクトが進展したり停滞したりするのに応じて、ストレージリソースの需要はワークフローのある部分から別の部分へ移る。
このシナリオでは、無駄になるリソースはほとんどない。
これを実現する鍵の1つが、ソフトウェア定義ストレージ(SDS)と、ネットワーク内の交通整理役を担う能力だ。ストレージリソースを分離すると、プログラム可能なSDSアプリが、変化する需要に基づいてリソースの再割り当てや配分方法を迅速かつ自動的に決定する。
データ管理におけるネットワークの重要性が高まるにつれ、ソフトウェアの役割もより重要になる。
ディスアグリゲーションはデータセンターを急速な変化に備えさせる
ディスアグリゲーションとソフトウェアは、より効率的なデータリソース管理の実現に役立つだけでなく、柔軟性の向上によって、データセンター管理者は新しいアプリケーション、データセット、ユースケースがもたらす急速な変化に適応しやすくなる。ディスアグリゲーションは、時間の経過に伴う事業の変化に応じてリソースを拡張する機会も生み出す。
かつて組織は、データセンターのニーズと、ITインフラが将来最長5年にわたってどのような姿になるかをできる限り予測しようとしていた。ストレージ、CPU、GPU、ネットワークのニーズを予測するのは容易ではなく、今もそうだ。この方法で投資を行うことには、大きなリスクが伴った。
ディスアグリゲーションによって、IT部門は長期にわたる大規模な賭けに出る必要がなくなる。
リソースを分離すれば、企業は必要な柔軟性を得て、コンピュートとGPUのリソースを個別に拡張し、容量を増強できる。また、データセンター運用者は、アーキテクチャの構成をその場で変更する自由度も高まる。
高度なストレージツールはすでに利用可能
これは絵空事や希望的観測ではないことを指摘しておきたい。GPU、サーバー、ストレージなどのリソースを分離し、必要なときに必要な場所へ分散できるようにする取り組みは、今まさに大きな効果を上げている。
主要なクラウドサービスプロバイダーは、この方式でデータセンターを運用している。ストレージについて言えば、現在存在するソフトウェアツールと機器により、規模を問わずデータセンターが分離されたストレージリソースを効率的に管理できる。
ストレージ技術における新たなイノベーションも重要な貢献を果たしている。
NVMe over Fabrics(NVMe-oF)は、SSDを最大限に活用し、ストレージとサーバー間の接続をより効率的かつ高速にする能力を備えた最先端のネットワークストレージプロトコルだ。この技術は、NVMeプロトコルを使用してネットワークファブリック経由でホストとストレージを接続する。NVMe-oFは、近年導入された画期的なストレージ技術の1つにすぎない。今後もさらに登場するだろう。
誰もが知るように、社会のデータに対する需要は高まる一方だ。世界中で毎年生成されるデータ量は、目を疑うほどの水準で増え続けている。そうした情報すべてを管理することはますます複雑になり、データセンター管理者が競争力を維持するには、急速に進化するストレージ技術を注視し続けることが求められる。