災害復旧とは、サイバー攻撃や自然災害などの事象が発生した後に、企業が対応し、復旧する能力を指します。冗長性を高め、単一障害点の排除に取り組み、事業継続を妨げる災害を防ぐために機能するバックアップを確保するなど、最悪の事態に備えることを意味します。
ほとんどの企業は災害復旧計画を策定している、あるいは策定すべきですが、その計画にはテストが必要です。災害復旧テストは、データやアプリケーションを通常の状態に戻すプロセスが機能し、実行可能であることを確認する手段です。
優れた災害復旧計画では、長期的に情報が失われないようすべてのデータを復旧可能にし、ITのダウンタイムを最小限に抑え、完全に復旧して稼働するまでスタッフが業務を継続できるよう、継続性を計画しておく必要があります。
大まかに言えば、潜在的な脅威を特定し、リスクを最小限に抑える手順を概説し、災害発生後に従う手続きを確立する必要があります。年に数回、見直して改善する生きた文書でなければなりません。
この記事では、災害復旧計画のテスト手順を解説します。テストの目的やメリット、デメリットを検討し、役立つチェックリストも紹介します。
災害復旧テストの目的
災害復旧において、テストは予期せぬ事態に備えるうえで企業に欠かせません。災害復旧テストでは、起こり得る災害をシミュレーションし、復旧計画の有効性を評価します。
これにより、実際の災害が発生する前に弱点を特定し、必要な調整を行えます。また、災害復旧計画が機能し、会社の要件を満たすかどうかも判断できます。災害復旧テストは、多くの場合、継続的に改善していく取り組みです。システムが変化するのに合わせて、チームは新しいプロセスやアップグレードしたプロセスをテストする必要があります。
災害復旧テストのチェックリスト
役立つ9段階のチェックリストを確認しましょう。対象は災害復旧テストであり、災害計画に含めて準備し、テストすべき関連要素も網羅しています。
1. RTOとRPOの復旧目標を決定する
災害復旧における重要な基準は、目標復旧時間(RTO)と目標復旧時点(RPO)の2つです。RTOは、障害やデータ損失の発生後、企業が通常の機能を復旧するまでにかかる最大時間です。RPOは、企業が許容できるデータ損失量の上限です。
RPOは通常、時間で測定し、災害発生時点から最後のデータバックアップまでの期間を指します。例えば、直前のフルデータバックアップが災害発生の10時間前だった場合、RPOは10時間です。
2. すべてのステークホルダーを特定する
ステークホルダーとは、災害が組織に及ぼす影響に関与する人、影響を受ける人、または何らかの利害関係を持つ人を指します。通常、社内外の幅広いステークホルダーが関わります。部門責任者から財務・マーケティング担当者まで、その範囲はさまざまです。ステークホルダーとその災害復旧における役割を特定し、計画を共有しておくことが、備えに役立ちます。
3. コミュニケーションチャネルを確立する
こうしたステークホルダーとのコミュニケーション方法は、ステークホルダーを特定することと同じくらい重要です。災害復旧計画についてどのように伝えるかは、組織によって異なります。経営陣、従業員、サプライヤー、顧客、メディアを含める必要があるかもしれません。
従業員とのコミュニケーションは、一般の人々とのコミュニケーションとは異なります。例えば、安全に関する情報を従業員に通知する必要がある場合は社内で行い、何を誰と共有できるかを伝えます。報道機関や一般の人々に話す必要がある場合は、透明性と評判を損なう可能性のバランスを考慮しなければなりません。優れた計画には、これに対応するための規定が盛り込まれています。
4. すべてを文書化する
文書化は、あらゆる災害復旧計画に不可欠です。生きた文書として扱い、詳細を記載して最新の状態に保ち、災害時に必要とする可能性のあるすべてのステークホルダーやチームが利用できるようにしておく必要があります。
文書化する内容は組織によって異なりますが、ほとんどの企業では、役割と責任、システムと資産のインベントリ、アプリケーションの依存関係、優先順位付け、規制への準拠を定め、文書化します。
5. バックアップと復旧のテクノロジーを選ぶ
災害復旧テストに使用される基本的なテクノロジーは、バックアップとレプリケーションの2つです。
データをバックアップする際は、3-2-1ルールに従うようにしましょう。
- バックアップを3つ保存する
- 異なる種類のメディアに2つ保存する
- 1つをオフサイトに保存する
レプリケーションは、情報を迅速に復旧できるため、RTOとRPOを短縮します。レプリケーションでは、ソースシステムを1つ以上のターゲットシステムにコピーし、障害発生時にオンラインに戻せます。
6. インシデント対応手順を定義する
災害発生時に何をすべきか、何をしてはいけないかを、すべてのステークホルダーが把握していなければなりません。計画にはインシデント対応を含め、サイバーセキュリティインシデントなどの災害が発生した際に各ステークホルダーがどう対応すべきかを定めます。これには、脅威の特定方法、脅威の封じ込めと阻止の方法、被害の評価方法、影響を受けたシステムの復旧方法が含まれます。役割は明確に定義しておく必要があります。
7. アクション対応と検証のプロセスを定義する
アクション対応と検証のプロセスをどう定義するかは、ビジネスによって異なります。まず、通常の状態に戻るために従う手順を把握する必要があります。次に、どのシステムをどのように活用するかを定義します。最後に、具体的な手順と、その手順を実行する担当者を決めます。
理想的には、自然災害、事故、悪意ある攻撃など、さまざまな種類の災害を想定し、それぞれに具体的な指示を用意しておくべきです。
8. 災害復旧テストを定期的に実施する
定期的なテストは、災害への備えや災害復旧計画の弱点の特定に役立ちます。テストを重ねることで、改善すべき領域が明らかになります。時間と費用を節約できるよう、必要に応じて手順を調整しましょう。
定期的なテストは、実際の緊急事態が発生した際にチームが効率的に対応できるよう備えるのに役立ちます。ほとんどの企業は、災害復旧テスト計画の有効性を少なくとも年1回検証すべきです。
9. 常に最新の状態を保つ
災害復旧テストを実施したら、テスト中にチームが学んだことに基づいて計画を更新します。テストでうまくいったこと、うまくいかなかったことのリストを作成しておきましょう。すべての文書を最新の状態に保ち、すべてのステークホルダーが簡単にアクセスできるようにしてください。
災害復旧テストの方法
災害復旧テストには、次の5つの主な方法があります。
ウォークスルーテスト
ウォークスルーテストは、テーブルトップ演習テストとも呼ばれ、すべてのステークホルダーを集め、災害復旧計画に記載された各手順を確認するプロセスです。通常は全員で各手順を確認し、緊急時に自分の役割を理解していることを確かめます。さらに、テスト中に見つかったエラー、不足情報、不整合にもチームで対処する必要があります。
シミュレーションテスト
シミュレーションテストは、実際の災害が発生した場合に計画が機能するかを確認するよい方法です。さまざまなシナリオを実行し、バックアップシステム、復旧サイト、その他のリソースをテストしながら、実際の大災害をできる限り忠実に再現します。こうしたシナリオは、タイムリーに業務を再開できるようチームの準備状況をテストするのに役立ちます。業務を再開するのに適切な人員が十分にそろっているかどうかも、すぐに分かります。
チェックリストテスト
チェックリストテストは、企業の災害復旧チェックリストを確認し、あらゆる観点、リソース、目標を考慮していることを確かめるプロセスです。チェックリストをテストすることで、更新が必要な項目が明らかになります。
完全中断テスト
完全中断テストは、それ自体が災害を引き起こす可能性があります。完全中断テストでは、プライマリサイトのすべての業務を停止し、災害復旧計画に沿って復旧サイトに切り替えます。このDRテストでは、実際のデータと機器を使用します。完全中断テストはシミュレーションテストより明らかに徹底していますが、テストに失敗すると業務を中断させる可能性もあります。
並行テスト
並行テストでは、復旧システムが業務トランザクションを処理し、会社のプロセスをサポートできるかを確認します。このテストでは、プライマリシステムは稼働を続けます。
災害復旧テストのベストプラクティス
災害復旧は継続的な取り組みであり、チームは計画を常に調整・更新する必要があります。災害復旧テストのベストプラクティスを知っておくと役立ちます。常に変化する環境では、次の原則に従うことが重要です。
- 多くのシナリオ、またはすべてのシナリオをテストする
- 定期的にテストする
- すべてを文書化する
- 全員に最新情報を共有する
- 結果を評価する
まとめ:災害復旧テストについて知っておくべきこと
災害復旧計画を策定することは、紙に書かれた手順を用意するだけではありません。ステークホルダーと手順を把握し、緊急事態に備えて何度も見直すことが必要です。
DR計画を頻繁にテストし、必要に応じて調整し、問題の影響を抑えられるよう情報とチームを最新の状態に保ちましょう。あなたとチームの準備が整い、最新の状態が保たれているほど、被害を最小限に抑えながら業務を迅速にオンラインへ復帰できます。
災害復旧テストに関するFAQ
災害復旧テストの責任者は誰ですか?
災害復旧チームが、変化する問題に対応するため、災害復旧計画を定期的にテストし、更新します。
災害復旧(DR)テストの目的は何ですか?
DRテストは、災害復旧計画が適切であることを確認し、災害発生時にあらかじめ定めた期間内で事業運営を復旧できるよう、業務の準備状況と復旧能力をテストします。
災害復旧のテストはどのくらいの頻度で実施すべきですか?
災害復旧テストは年1回実施すべきです。