バックアップは不可欠だ。しかし、リカバリーはそれ以上に重要になっている。
企業は、自社のデータが必要になったときに利用できると保証してくれるはずだった、かつてのようなバックアップスケジュールへの信頼をもはや寄せていない。
データリカバリー市場における主なトレンドを以下に紹介する。
1. リカバリーの存在感が高まる
SQL Server、SAP HANA、Oracle、MaxDBなどのデータベースやエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムは、多くの企業のIT運用の中核を担っている。
こうした不可欠なシステムでは、データを単にバックアップするだけでは、要求されるリカバリー時間目標(RTO)とリカバリーポイント目標(RPO)を満たせない。
「ITチームは現在、地理的に離れたノード間や、クラウドのリージョンおよびアベイラビリティゾーン間でフェイルオーバーするクラスタリングソリューションを利用し、短いRTOとRPOを確実に達成できるようにしている」と、SIOS Technologyのソリューションアーキテクト、Ian Allton氏は述べた。
2. クラウドストレージの社内回帰
クラウドへの移行ラッシュは、多数の特別オファーや割引、無料パッケージによって後押しされた。
しかし、低コストストレージという約束が複雑さの壁に突き当たるなか、データのリカバリーをより自分たちで管理できるよう、クラウドから社内へデータを戻す動きも出ている。
「1年目の無料プログラムが終了するなか、すべてのバックアップデータとアーカイブデータをクラウドに保存することを当てにしていたIT担当者は、現在、データをオンプレミスに戻すことを検討している」と、StorONEのチーフ・プロダクト・ストラテジスト、George Crump氏は述べた。
「クラウドにデータを保存すること、特に静的データを保存することは、コストが高い」
Crump氏は、長期的なデータのレジリエンスも実現できる、高密度で費用対効果の高いストレージソリューションを推奨している。同氏によれば、IT部門は、1週間に及ぶドライブのリカバリー作業に悩まされることなく20 TB以上のハードディスクドライブ(HDD)をサポートでき、同時にランサムウェアに対してレジリエントなストレージも提供できるソリューションを探す必要がある。
3. ビッグデータのさらなる巨大化
私たちが生み出すデータ量は増え続けている。
現在ではゼタバイト、さらには数百ゼタバイト以上で測られるビッグデータの増大に対して、数十年にわたって使われてきた手法では、もはやバックアップしきれない。
問題は非常に深刻で、大量のデータを扱う場合、企業は適切なバックアップを見送ることさえある。そうなれば、データの消失や破損が起きてもリカバリーできない。
「ファイル数が数十億以上、データ量が数ペタバイト以上に達すると、バックアップはもはや機能しない」と、ArcitectaのCEO、Jason Lohrey氏は述べた。
「データレジリエンスは、ファイルシステムとデータファブリックに不可欠な要素として組み込まれなければならず、実際にそうなっていくだろう」
4. 複数のバスケットに卵を分ける
すべてのバックアップデータをテープに置く、すべてのデータをクラウドに置く、あるいはすべてのバックアップをディスクに保存する傾向があった。
しかし、多様性の時代を迎えた今、バックアップとリカバリーにも多様性が求められるようになっている。
実際、3-2-1ルールは以前から、データを3つコピーし、2種類の異なるストレージメディアに保存し、1つをオフサイトに置くことを推奨してきた。理にかなった助言だ。それでも、多くの人がこれを無視してきた。
「長期バックアップは、完全なテープ(AコピーとBコピー)から、テープ(Aコピー)とクラウド(Bコピー)の組み合わせ、または完全なクラウド(Aコピーのみ)へと移行し、可能な限り安価なストレージを使うようになる」と、ArcitectaのLohrey氏は述べた。
「多様性を重視する企業は、すべての卵を1つのバスケットに入れることを避けるため、複数のストレージ技術とベンダーを組み合わせて使う。これは、Aコピーを1つのクラウドに、Bコピーを別のクラウドに置くことを意味する場合もある。一方が障害を起こしても、もう一方からリカバリーできる」
5. メタデータの重要性が高まる
メタデータはかつて、ファイル管理やストレージにおいて比較的小さな役割しか担っていなかった。
しかし時がたつにつれ、開発者はメタデータを活用してパフォーマンスを改善し、検索性と分析機能を高め、ストレージ、バックアップ、リカバリー向けのより高度な機能を提供する方法を見いだしている。
最近では、メタデータはレジリエンスを高め、より迅速なリカバリーを実現する手段と見なされている。現代のシステムには、かつてないほど多くのメタデータの詳細が含まれている。これらを使えば、データを相互参照したり、分析・検索したりできるほか、さまざまな処理が可能になる。
「データのレジリエンスとリカバリーの目標を満たすため、データコピーの配置を決めるうえでメタデータを活用することに注目が集まるだろう」と、ArcitectaのLohrey氏は述べた。
「メタデータは、特定のリカバリー目標にかかる全体的なコストを自動的に最小化するために使われるようになる」