ハードウェア障害からランサムウェア攻撃まで、予期せぬさまざまな事態が企業のデータを危険にさらす可能性がある。だからこそ、信頼性の高いディザスタリカバリ(DR)ソリューションへの投資は、重要な情報の喪失を防ぐための最善策となり得る。
以下では、さまざまな業界の組織がデータ保護の課題を解決するためにディザスタリカバリソリューションをどのように活用しているか、5つの事例を紹介する。
Digital Seattle
Digital Seattleは、IT管理、事業継続、ソフトウェアアップグレード、IT更新などを手掛けるIT企業だ。
システムへの暗号化攻撃と、プロバイダーのデータセンターで発生したトラブルを受け、Digital SeattleのCEOであるVoiko Tanev氏は、データ保護をバックアップストレージソリューションだけに頼るのではなく、ディザスタリカバリソリューションを導入する必要性を認識した。
以前のバックアッププロバイダーは、クラウドソリューションのリソースを適切にサイジングしていなかった。さらにDigital Seattleは、データストレージにチェーン型バックアップを利用していたため、従来のバックアップ処理と比べて2倍の時間がかかり、月に3回のアップグレードが必要だった。
「クラウドに移行して再シードするデータが3TB、4TB、5TBある顧客の場合、月に3回もそれを実行したいとは思わないでしょう。実際にそういうことがありました」とTanev氏は話す。
Axcient x360Recoverにより、Digital Seattleは従来の課題を克服した。Axcientのチェーンレスバックアップ技術により、データ復旧速度は大幅に向上した。さらに、MSP専業ベンダーは、最近のサイバー攻撃の傾向に基づいてディザスタリカバリ機能を継続的に更新し、組織のデータを新たな脅威からさらに保護した。
Axcientは50TBの追加ストレージも提供したため、Digital Seattleは攻撃やダウンタイムの発生時に、すべての顧客データを転送するための空き容量を確保できた。無償のAutoverify機能はバックアップを精査してDRテストを実行するもので、さらなる障害に対応するAxcientの能力強化につながる一歩となった。
「DRシステムを使って毎月サーバーのバックアップをチェックできるので、設定さえ済ませれば、ボタンを押すだけで実行できます」とTanev氏は話す。「すべてをチェックして、『はい、このサーバーには接続できます。はい、こちらにも接続できます』と言うだけです。以前のプロバイダーのように、サーバーごとに手動で作業する必要はありません」
業界: ITサポート
ディザスタリカバリプロバイダー: AxcientおよびAxcient x360Recover
成果:
- 顧客のデータ復旧を保証
- 復旧速度が向上し、RPO(目標復旧時点)が15分に
- 災害やデータ損失が発生した場合、1時間以内のデータ復旧を保証
- ベンダーのプロセスとバックアップを合理化し、リソースの最適化を改善
Klinikum Fichtelgebirge
Klinikum Fichtelgebirgeは、ドイツ・バイエルン州を代表する病院で、6つの診療科にわたって医療サービスを提供している。従業員1,000人超が、年間約18,000人の入院患者と27,000人の外来患者に対応している。
合併後、Klinikum Fichtelgebirgeにはディザスタリカバリの基盤が整備されていたが、運用方法に一貫性がなかったため、ランサムウェア攻撃やシステム障害の潜在的なリスクにさらされていた。同病院のITシステム管理者Christian Schiener氏は、バックアップ処理が包括的でなく、ほとんどテストされておらず、多くのバックアップが手作業による回避策に依存していることを突き止めた。
さらにKlinikumには統一されたディザスタリカバリプロバイダーがなく、最悪の事態に備えて小規模なバックアップソリューションを複数導入していた。Schiener氏は、サイバー攻撃に対して保護対策が不十分だと認識していた。
そこでSchiener氏のチームは、単一のバックアップおよびディザスタリカバリプロバイダーへの移行を含む、シンプルで一貫したディザスタリカバリ運用を策定することにした。
Arcserve UDPは、費用対効果の高い予算で集中型のデータ保護をKlinikum Fichtelgebirgeに提供した。導入は3段階で行われた。既存のArcserve UDPライセンスに以前のバックアップを統合し、各チャネルに存在する保護されていないデータや手動でバックアップしていたデータを特定してArcserveのライセンスに統合し、発生源のパフォーマンスモデルに基づく統合インフラを構築した。
「DRソリューションを使い始めてから、同じハードウェアとディスク容量で、より頻繁にバックアップを実行できるようになりました。つまり、障害のリスクも低下したということです」とSchiener氏は話す。
業界: ヘルスケア
ディザスタリカバリプロバイダー: Arcserve UDP
成果:
- ダウンタイムのリスクを最小化
- バックアップにかかる時間を数日から数分に短縮
- 40kmの無線リンクで遠隔施設を接続し、データを転送可能に
- 70%および80%の重複排除率を達成
PLSS Soluções
ブラジル南部を拠点とするPLSS Soluçõesは、LinuxおよびWindowsサーバー向けのマネージドサービスを提供している。
150社の顧客を抱える同社は、顧客データの管理に無料のオープンソースバックアップツールを利用していた。初期費用は最小限だったものの、PLSS Soluçõesはそのほかにもさまざまな所有コストを負担することになった。
PLSS Soluçõesのバックアップツールには、バックアップ処理を一元監視する機能がなかった。従業員は、災害やダウンタイムの発生時に、すべての顧客について個別にバックアップを実行せざるを得なかった。その結果、会社のコストとスタッフの労働時間が大幅に増加した。また、オープンソースのバックアップツールには強固なセキュリティ機能もなく、同社はランサムウェア攻撃のリスクにさらされていた。
MSP360により、PLSS Soluçõesは顧客データ向けの集中型バックアップ・リカバリ基盤を構築し、スタッフの作業時間と導入リソースを削減した。現在、チームは集中型Webインターフェースからバックアップ処理を監視できる。
MSP360はセキュリティ上の問題の解決にも役立った。現在、PLSSはバックアップの変更を防止し、復旧データに対するアクセスベースのモデルを作成できる。管理者のアクセス制御を限定することで、同社はリモートでバックアップに対するきめ細かな権限を設定できる。
「バックアップの実行に必要なスタッフの作業時間が大幅に削減され、集中監視とレポートによってバックアップの問題を容易に検出できるようになったことで、マネージドバックアップリカバリのオーバーヘッドは大幅に低下しました」とMSP360は説明している。
業界: OS管理
ディザスタリカバリプロバイダー: MSP360
成果:
- バックアップ処理に必要なスタッフと時間を削減
- 集中監視によりバックアップの問題を容易に検出
- バックアップを継続的に実行し、データ記録を保護されていない状態にしない運用を実現
- すべてのデータを復元するのではなく、個別ファイルを復元可能に
RMS
RMSはオクラホマ州を拠点とするヘルスケア企業で、1,000社を超える医療提供者と45の銀行パートナーにサービスを提供している。
RMSは、コスト削減、収益サイクルの迅速化、売掛金回収までの日数短縮によって、複雑な医療費支払い処理の自動化に取り組んでいる。
RMSは創業当初から、自社でIT業務を構築し、人員を配置して運用してきた。しかし、会社の規模が拡大すると、運用を維持するために必要なテクノロジーとリソースの水準を社内だけで管理することは、もはや困難になった。
「何を専門分野にしたいのかを決める必要がありました。送金処理は非常に複雑です。私たちはITの専門家にもなりたいのでしょうか」と、RMSの創業者兼CEOであるScott Thomas氏は話す。
「単に機器がもっと必要だったのではありません。事業を前進させるために、まったく異なるシステムが必要だったのです」
RMSがTierPointとの協業を決めた後、最初の課題は、第三者プロバイダーがデータ運用を引き継ぐ中で、顧客の信頼を維持しながら迅速な拡張性を確保することだった。TierPointは、カスタムクラウド戦略を設計し、RMSを自社管理システムから移行するとともに、本番処理能力を高め、事業継続性を向上させた。
業界: ヘルスケア
ディザスタリカバリプロバイダー: TierPoint
成果:
- クラウド構成により、RMSはオンデマンドで迅速に拡張可能に
- ディザスタリカバリを強化するため、追加のバックアップサイトを2カ所設置
- 100%の稼働率と、フェイルセーフな事業継続保護を保証
Bloomin Brands
フードチェーンのBloomin Brandsは、17カ国の1,450店舗で82,000人のチームメンバーを雇用している。
Bloomin Brandsは、拡張性を高めながら顧客のニーズにも対応するよう、常にプレッシャーにさらされている。同社には、緊急事態が発生してもレストランのデータを利用可能な状態に保てるバックアップおよびディザスタリカバリソリューションが必要だった。
Nutanix Enterprise Cloudは、データセキュリティを損なうことなく、同社の事業目標達成を支援した。Bloomin Brandsは、Nutanix Enterprise Cloud Appliancesを基盤とするハイパーコンバージドインフラ(HCI)を採用した。この移行により、変化する顧客と従業員のニーズに対応する適応力が生まれた。
「Cloud OSによってネイティブなDR環境を利用できるようになったことは、他社には提供できない優位性でした。その結果、インフラの拡張性が高まり、成長する事業の最適化など、ほかの課題について考える時間も得られました」と、Bloomin Brandsの最高業務・技術責任者であるMarcos Antônio Nogueira氏は話す。
業界: フードサービス
ディザスタリカバリプロバイダー: Nutanix、Nutanix Enterprise Cloud、Nutanix DR
成果:
- RTO(目標復旧時間)5分の統合ディザスタリカバリ
- データの安全性と事業継続性を確保
- データセンターを拡張し、年間10%の成長目標を達成
- エネルギー消費を40%削減
- 不要なバックアップを整理し、ラックスペースを50%削減