サービスとしての災害復旧(DRaaS)は、DR市場における最新の進化形だ。
多くの企業には、かつては最新の方式だったものの、急速に高コストな時代遅れとなりつつある、企業データセンターとまったく同じ構成のDRサイトを構築する時間も予算も、その意思もない。その代わりに、多くの組織がインシデントに備えてDRデータを保管する場所としてクラウドを利用している。
しかし、クラウドには管理が必要だ。単にデータをクラウドに放り込み、ランサムウェア攻撃や異常気象の発生後に復旧できると期待しているだけでは、失望する結果に終わることが多い。DRaaSは、確実に復旧できるようIT部門を管理面から支援するサービスとして登場した。
災害復旧サービス市場における主なトレンドを以下に紹介する。
1. リカバリーの検証
リカバリーの実態をテストし検証することに、より大きな注目が集まっていると、11:11 Systemsのプロダクトマーケティング担当シニアディレクター、Laura Shafer氏は指摘する。
長い間、組織にとってはDRソリューションを含む事業継続計画があれば十分だった。企業が年に1度その計画をテストすれば、誰もが「素晴らしい。機能している」と言ったものだ。しかし、もはやそれでは十分ではない。
「ITチームはテストの頻度を増やすだけでなく、リカバリーの検証も行う必要がある」とShafer氏は述べた。
企業によっては、アプリケーションテストやエンドユーザーテストを実施することを意味する。
別の企業では、シナリオベースまたはイベントベースのテストを行う場合がある。ITチームが一般的な状況をシミュレーションし、その後リカバリーを検証するのだ。例えば、停電やハードウェア障害をシミュレーションするために直近の時点まで復旧したり、ランサムウェアなどのセキュリティイベントをシミュレーションするために過去の時点まで復旧したりする。
2. テスト頻度
テストへの注目が高まったことで、テストの頻度にも影響が及んでいる。
組織がテストを行うのは、かつては年に1度、DR戦略に大きな変更を加えたとき、または災害に見舞われてデータを完全には復旧できないことが判明したときだった。
しかし、DRaaSがあればテストははるかに容易になる。プロバイダーを利用できるため、組織は長時間にわたるテスト訓練のために社内要員の手を煩わせる必要がなくなる。
「このため、ITチームにはDRのテストをより頻繁に行うよう、いっそうのプレッシャーがかかっている」と、11:11 SystemsのShafer氏は述べた。
「これは、利用しているDRソリューションにかかわらず、必要なときに復旧できることを証明できなければならない、もう1つの理由でもある」
3. 災害の発生を前提とした備え
かつて、災害はまれな出来事だった。災害を一度も経験しない組織も多く、経験したとしても、1~2日間の停電といった小規模な事象への対処で済むことが多かった。
しかし現在では、異常気象の発生頻度が高まり、マルウェアやランサムウェアも蔓延しているため、ほとんどの組織が災害に見舞われる可能性が高い。
「災害はもはや一生に一度の出来事ではない」と、Acronisのシニアプロジェクトマネージャー、Vasilii Zorin氏は述べた。
「近年、サイバー攻撃が計画外停止の主な原因となっている。規模、業界、所在地にかかわらず、あらゆる企業がサイバー脅威にさらされている」
災害復旧とDRaaSはサイバー防御の備えに不可欠な要素となっている。ランサムウェアが従来のサイバーセキュリティ防御層を突破した場合でも、事業運営の継続を保証できるからだ。
4. リカバリーの速度
リカバリーの速度は、常に課題となってきた。組織はすべてのデータを今すぐ復旧したいと考えている。
見積依頼(RFQ)では、復旧時間を数分と指定することが多い。ほぼ瞬時の復旧に伴う価格を目にすると、落胆することも少なくない。それでも高速な復旧は不可欠であり、組織は復旧時間を短縮するために、より多くの費用を投じるようになっている。
「ハイブリッド環境で分散チームが効率的に業務を進めるにはITシステムへの依存度が高いため、企業には災害時の迅速な復旧が必要だ」と、AcronisのZorin氏は述べた。
「組織は数時間、数日間に及ぶダウンタイムを許容できない。数分で業務を復旧できなければならない」
5. マルチクラウドとDRaaS
現代の組織では、オンプレミス、クラウド、複数のクラウドにワークロードが存在する。インフラは複雑だ。
バックアップを社内で管理しようとすると、この複雑さの壁にぶつかることが多い。バックアップを徹底すれば、通常は社内の時間をあまりにも多く費やすことになる。一方で、バックアップの対象から特定のアプリケーション、データベース、システムが漏れてしまうことも少なくない。
DRaaSはこの複雑さを外部プロバイダーに移し、企業側が行うべきことを、すべてのデータがカバーされているか確認するための少しの時間の投入だけにしてくれる。
「オンプレミスやさまざまなプライベートクラウドおよびパブリッククラウドにワークロードをホストするハイブリッド/マルチクラウドインフラは、組織にとって新たな標準となっている」と、AcronisのZorin氏は述べた。
「DRaaS製品は、複雑なネットワーク管理や複数ホスト間のデータ移行を含め、そうした環境におけるDRシナリオのオーケストレーションをサポートすべきだ」