ストレージはかつて、ブロックベースのアーキテクチャーが主流だった。しかし、1990年代後半以降、NetAppのファイラーが普及するにつれて、ファイルストレージが着実に勢力を伸ばしてきた。
現在では、クラウドストレージが台頭したことで、ファイル、ブロック、オブジェクトストレージの境界は曖昧になっている。それでも、ファイルストレージは20年前と変わらず重要な存在であり続けている。
企業やITチームがクラウドファイルストレージ市場で目にしている主要なトレンドを、いくつか紹介しよう。
1. デジタルトランスフォーメーション
IDCのアナリスト、Eric Burgener氏によると、90%以上の企業がデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んでいる。
そのため企業は、ストレージアーキテクチャーだけでなく、ビジネスモデルや意思決定プロセスも、よりデータ中心のアプローチに合わせて調整する必要がある。
これまで以上に多くのデータが取得、保存、保護、分析される中、IDCは、今後2年以内に企業の約70%がサーバー、ストレージ、データ保護インフラを最新化する必要に迫られると予測している。
「こうしたテクノロジー更新プロジェクトは、主に、DXの結果として企業が導入する新しいワークロードの要件に突き動かされています。その多くは、非構造化データを使うAI主導のビッグデータ分析ワークロードを活用しています」とBurgener氏は述べた。
この非構造化データの保存において、ファイルストレージは大きな役割を果たすことになる。
2. オンプレミスのファイルストレージの成長
IDCによると、今後5年間に保存されるすべてのデータの8%が非構造化データになる。主にファイルベースまたはオブジェクトベースのデータだ。
「企業がオンプレミス環境に保有するファイルストレージは、平均で71PBに上ります」とIDCのBurgener氏は述べた。
「オンプレミスのファイルストレージは、今後5年間、年率46%で成長すると予想されていました」
これは大きな成長トレンドだ。オンプレミスストレージが今後も使われ続けることは明らかであり、ファイルストレージはその中核リポジトリとなっている。
3. クラウドファイルストレージの成長
ファイルストレージはもはや、オンプレミスストレージ専用のものではない。クラウドでデータを保存する一般的な方法になっている。
IDCは、今後5年間で組織が91PBを超えるファイルストレージをパブリッククラウド環境に移すと予測している。これは、ファイルストレージのクラウド移行が初めてオンプレミスへの移行を上回ることを意味する。オンプレミスのファイルストレージの成長率は、パブリッククラウドのファイルストレージに追い抜かれる。パブリッククラウドのファイルストレージは、少なくとも今後5年間、年率53%で成長すると予想されている。
これらの数字が示しているのは、ファイルストレージがオブジェクトストレージと比べて、全体として引き続き優位に立っているということだ。パブリッククラウドでは、ファイルストレージがオブジェクトストレージを約20%上回っており、オンプレミスでは両者はほぼ同等の規模になっている。
「ファイルストレージとオブジェクトストレージの成長に支えられたパブリッククラウドのデータ成長率は、オンプレミスストレージの成長率を上回りました」とIDCのBurgener氏は述べた。
4. 階層型ストレージ
ファイルストレージは、ストレージの階層化にも有用であることが実証されている。
異なるカテゴリーのストレージを個別の階層に配置することで、データをパフォーマンス、可用性、容量、コストの要件に応じて保持できる。
データの価値が低下するにつれて、データは階層から階層へと徐々に移され、最終的には、アクセスされることがほとんどないコールドストレージ階層またはアーカイブに置かれる。
最新の階層型ストレージソリューションは、1つのシステム内で複数のメディアタイプをサポートし、さまざまな便利な機能を備えている。そこには、データの保存先(オールフラッシュ、ハイブリッド、ハードディスクドライブ(HDD)、テープ)や、新しいデータを配置すべき場所を判断できるインテリジェントなデータ配置機能も含まれる。
5. アーカイブの成長とパフォーマンス
IDCによると、企業が保有する全データの約35%は、過去6カ月間に一度も利用されていない。一部のアナリストは、この割合をさらに高く見積もっている。
そのため、ストレージインフラの効率を高めるうえで、アーカイブは重要な要素となっている。アクティブなデータは高性能階層に保持する一方、データの大部分は低位の階層に移して、全体的なコストを削減する。
IDCによると、企業の52%は古いデータをオンプレミスのアーカイブに階層化している。残りはパブリッククラウドのアーカイブを利用している。このようにデータが分散するため、あらかじめ設定したポリシーに基づいてデータをインテリジェントに配置する、データ分類ツールの活用が重要になる。
しかし最近では、アーカイブされたデータにも高いパフォーマンスが求められる。必要になる可能性は低いものの、ファイルの取り出しに数時間、場合によっては数日かかると考えられているため、組織はデータをテープにアーカイブすることに消極的だった。
テープベンダーは、アクティブアーカイブと呼ばれる仕組みによってこの問題を解決した。これらのシステムは、データのライフサイクル全体を通じて、信頼性が高く、オンラインで、費用対効果に優れたデータアクセスを可能にする。フラッシュ、ディスク、テープ、クラウドなど、複数のメディアタイプに対応している。また、ファイル、ブロック、オブジェクトストレージにも対応できる。さらに、あるストレージ階層から別の階層へデータを移動でき、そのコストは他のメディアを使う場合よりも大幅に低い。