サーバーレスコンピューティングは、アプリケーションの関数やイベントに応じて、必要なときにシステムリソースを自動的にプロビジョニングするよう設計された、強力なクラウドコンピューティングの実行モデルです。アプリケーションが停止すると、リソースは自動的にゼロまで縮小されます。
ハードウェアやネットワークインフラのプロビジョニングと管理に金銭や時間を投資する必要がないため、企業や開発者はアプリケーションコードとビジネスロジックの開発、最適化、保守に注力できます。
以下の5つの事例では、さまざまな業界の組織がサーバーレスコンピューティングのメリットをどのように享受しているかを紹介します。
1. AstraZeneca
AstraZenecaは、腫瘍学、バイオ医薬品、希少疾患の分野で使用される新薬の開発と上市に取り組む組織です。
大規模なデータ処理は、創薬研究・開発に役立つペタバイト規模のゲノムシーケンシングデータにつながります。こうした目標に加え、それを支えるテクノロジーではなく科学的探究に集中したいという思いから、AstraZenecaはサーバーレスコンピューティングとAWS Lambdaを採用しました。
AWS Lambdaは、複数のソースから大量に取得されるデータを扱うAstraZenecaの業務を支えています。この強力でスケーラブルなソリューションは、必要なときにいつでもリソースを動的にプロビジョニングし、管理します。
業界: 製薬・バイオテクノロジー
サーバーレスコンピューティングソリューション: Amazon AWS Lambda
成果:
- 24時間以内に510億件を超える統計テストを実行可能
- ゲノムシーケンシングの変動する需要に対応して規模を拡大・縮小
- 2020年、AstraZenecaの40件を超える創薬プロジェクトに遺伝学的知見を提供
- 2026年までに200万個のゲノムを解析するという同社の目標を達成する見込み
2. Mosaic Life Care
Mosaic Life Careは、ミズーリ州を拠点とする医師主導の医療組織です。COVID-19のパンデミックによって生じたワクチン接種需要に対応するため、Mosaic Life Careは、現在のオンプレミス環境による制約を受けずに患者が接種を登録できる、効率的な方法を構築したいと考えていました。
Mosaic Life Careは、Azure Functionsのサーバーレスコンピューティング能力を利用して、患者が接種予約を申し込めるワクチン登録ポータルを導入しました。ワクチン接種の需要が高く、供給が限られていたため、予約スケジュールの正確性と応答性が重要でした。
「患者にダウンタイムを経験させることなく、登録数にかかわらず対応する必要がありました」と、Mosaic Life CareのIT担当副社長であるBrandon Gockley氏は述べています。
「ポータルをスケーラブルにするため、既成概念にとらわれずに考えました。そのとき、Azureに移行したいと確信したのです」
Azure Functionsは、医療機関に必要なセキュリティオプションを備えたスケーラブルなソリューションを提供します。
業界: 医療
サーバーレスコンピューティングソリューション: Azure Functions
成果:
- COVID-19ワクチンを6万回分以上、迅速かつ効率的に接種
- Mosaicのチームは、バックエンドの保守やインフラのセキュリティを心配する必要がなくなった
3. Lucille Games
Lucille Gamesは、テクノロジー企業AumentiaとYouTuberのDaniel Matiasによる協業です。このパートナーシップは、拡張現実体験、モバイルアプリケーション、ソーシャルゲームの構築で広く知られるようになりました。
YouTubeインフルエンサーによってトラフィックが急増し、ときには数百万人もの新規ユーザーが流入する可能性があるため、Lucille Gamesにはその膨大なトラフィック増加に対応できるプラットフォームが必要でした。Google Compute EngineとGoogle Cloud Functionsが提供するサーバーレスソリューションを利用することで、Lucille Gamesは高負荷時でもアプリケーションの安定性を手頃なコストで維持できます。
サーバーレスコンピューティングを活用することで、Lucille Gamesは中核となる開発能力に集中でき、断続的にアイドル状態になる可能性のあるハードウェアやネットワークリソースの購入・保守に資本を投じる必要もなくなりました。
業界: ソフトウェア開発
サーバーレスコンピューティングソリューション: Google Cloud Functions
成果:
- 2週間で1,500万人のユーザー増加をサポート
- 膨大なトラフィックの急増にも容易に対応
- サーバーコストを推定30%削減
- ゲームサーバー用の新しいインスタンスを20秒で作成
- 開発者はインフラ管理を気にする必要がない
4. Hemnet
Hemnetは、スウェーデンを代表する不動産プラットフォームを運営しており、最多の訪問者数と最大規模の不動産物件情報を1つのアプリケーションに集約しています。忠実な訪問者基盤により、月間平均訪問数は6,140万回に達し、Hemnetは広く認知され信頼されるブランドとなっています。
世界規模での成長を見据え、Hemnetには、安全でスケーラブルかつ高性能なソリューションを提供するCloudflareのサーバーレステクノロジーの力が必要でした。
「パフォーマンスはユーザー体験の基本的な要素であり、Hemnetはユーザーに最高水準の体験を提供したいと考えています」と、HemnetのテクニカルディレクターであるChristoffer Hamberg氏は述べています。
「しかし何よりも重要なのはセキュリティ面であり、そこでは決して妥協しません。Cloudflareによって、ユーザーが可能な限り高速かつ安全にサービスへアクセスできるようにしながら、その両方を提供できます」
Cloudflare Workersは90か国、200以上の都市にまたがるネットワークに支えられており、各エンドユーザーに最も近いデータセンターでアプリケーションを実行できます。これにより、稼働時間を維持しながら遅延を低減し、最高のパフォーマンスを確保できます。
業界: メディア
サーバーレスコンピューティングソリューション: Cloudflare Workers
成果:
- 顧客に迅速かつ効率的にリーチ可能
- 簡単な設定と管理により、時間と社内リソースを節約
- Cloudflareが提供する統合セキュリティソリューションにより、毎月10万件を超えるサイバー脅威を軽減
5. Zendesk
Zendeskは、顧客関係の管理・改善を支援するソフトウェアの提供に専念する、サービス第一主義の顧客関係管理(CRM)企業として高く評価されています。ユーザーに最善のサービスを提供するため、Zendeskの開発者は新機能の構築と導入に迅速に取り組む必要がありました。
この目標はAWSとKubernetesを活用することで達成されましたが、Zendeskには、新たなクラウドベースの本番環境とうまく統合できる形でワークロードとインフラを監視する機能も必要でした。Datadogのサーバーレス監視は、顧客向けの常時稼働かつ高性能なプラットフォームの維持を支援し、Zendeskのニーズに応えました。
Datadogが提供するログとインフラメトリクスを利用することで、Zendeskはアプリケーションのパフォーマンス低下と、対処が必要な根本的な問題との相関関係を容易に把握できます。トレースの検索と分析によって、個々の顧客、ユーザー、エラーコード、エンドポイント、サービス、カスタムタグに一致する特定のトレースだけを抽出することも可能です。
業界: SaaS
サーバーレスコンピューティングソリューション: Datadog Serverless Monitoring
成果:
- 開発者は報告された問題を容易に調査し、対応できる
- Datadogは簡単にインストールして利用できる
- 500を超える組み込みインテグレーションにより、Zendeskは既存のダッシュボードとアラートを活用できる