データウェアハウスは、主にビジネスインテリジェンス(BI)とアナリティクスに利用されるデータ管理システムです。データウェアハウスには、さまざまなソースから収集した大量の履歴データが保存され、クエリや分析に利用できます。従来のリレーショナルデータベースとは異なり、これらのシステムは大量の非構造化データを保存できるため、ビッグデータプロジェクトやリアルタイムデータ処理に適しています。顧客、製品、ビジネスプロセスの指標に関する履歴を分析して傾向や行動を特定できるため、ウェアハウス内のデータの価値は時間とともに高まります。
本稿では、データウェアハウスの企業における一般的な活用事例を10件紹介します。
戦術的なレポーティングにおけるデータウェアハウス
データウェアハウスは、レポート作成用のデータを保存するのに適しています。高パフォーマンスのクエリに最適化されているため、アドホックな処理やオンデマンド処理、パフォーマンスレポートに最適です。データウェアハウスは複数のソースシステムのデータを統合するためによく利用され、特定の要因が異なる領域にどのような影響を及ぼしているのかを、全体的かつグローバルな視点で把握できます。
高速性と組み込みのパフォーマンス最適化により、外出先での情報取得や緊急対応に適しています。従来の方法でレポートを生成するために何時間も何日も待つことなく、ほぼ瞬時に答えを得られます。レポートの精度も高まります。組織全体の情報が含まれるため、情報がサイロ化したり古くなったりすることで生じる断片的な内容にならないからです。
ビッグデータ統合におけるデータウェアハウス
企業が生成するデータの約80%は非構造化データだと推定されています。メール、PDF文書、ソーシャルメディアへの投稿、マルチメディアファイルなどが該当します。非構造化データは効果的に保管・活用することが非常に難しく、組織内のあらゆる非構造化データのソースを効果的に統合できるほど包括的なソリューションはほとんどありません。そのため、重要な洞察を見逃すか、エンタープライズグレードのデータウェアハウスで実現できる水準と比べて結果が劣ることになります。
データウェアハウスを利用すると、オンデマンドのデータクエリを通じて複数の関係者が少なくとも一度は検証するため、データの流れの信頼性が高まります。また、ビッグデータ分析を自動化できるため、アナリストは異なるツールやソリューションをつなぎ合わせる作業ではなく、特定の問題を深く掘り下げることに時間を使えます。組織全体の複数のソースから構造化データと非構造化データの両方を収集してデータウェアハウスに保存すれば、処理や分析のために、ビジネスデータをより包括的に把握できます。
自然言語処理(NLP)におけるデータウェアハウス
多くの組織が自然言語処理(NLP)によるカスタマーサービスの改善に取り組んでいます。NLPは迅速な分析を可能にし、サポート、営業、マーケティング部門の成長機会を生み出します。
データウェアハウスには、顧客やクライアントから送られた膨大な量の構造化データと非構造化データを保存でき、それらをNLPモデルで分析できます。こうしたデータを適切に分析すれば、ライブチャットによる支援や、顧客との過去のやり取りに基づく応答など、組織の従業員やボットがリアルタイムに対応できるようになります。
データウェアハウスのような安定したデータストレージシステムがなければ、この種のデータマイニングは困難です。メール、電話、ソーシャルメディアへの投稿など、顧客に関するあらゆる情報を収集し、最も頻繁に利用する製品やサービスに応じて適切に分類・整理することが重要です。これは、各顧客のプロファイルを構築するうえで不可欠です。こうしたプロファイルがそれぞれの固有のデジタルアイデンティティを形成し、関連情報をすべて1つのインスタンス内に保存します。
監査とコンプライアンスにおけるデータウェアハウス
監査とコンプライアンスチェックはいずれも労力のかかる作業です。監査担当者はデータのスプレッドシートを確認し、コンプライアンス担当者は法的文書を読み込む必要があります。こうした退屈な作業によって、規制当局の要求に追随することは難しくなります。
データウェアハウスは重要文書の電子コピーを保存するため、時間とコストを節約し、エラーの発生率を低減するとともに、結果をより正確に分析できます。優れたデータウェアハウスには構造化された保存形式も備わっており、関連する記録を即座に取得できます。これにより監査が迅速かつ容易になるだけでなく、企業は現行の規制に準拠していることをすぐに証明でき、コンプライアンス対応も容易になります。
詳しく知る:データストレージシステムのコンプライアンス規制。
データマイニング分析におけるデータウェアハウス
Netflixのような企業は、どのコンテンツが最も人気があるか、どのプロモーション戦略が最も効果的か、どのマーケティングキャンペーンが加入者の共感を得るかなど、多くのビジネス上の意思決定をデータマイニング分析に基づいて行っています。データマイニング分析のプロセスでは、分析しやすいように膨大な量のデータを一元的な場所に保存します。データウェアハウスは、洞察に必要なデータだけでなく、知的財産や競合情報も保存して利用可能にできるため、データマイニング分析に適しています。
データ品質の問題解決におけるデータウェアハウス
データの破損や孤立したサイロの発生を避けるには、エラーや更新漏れに速やかに対処することが重要です。こうした問題は分析の精度低下につながります。データウェアハウスの大きなメリットの1つは、ビジネスインテリジェンスチームがデータベース内のエラーに対処できることです。
エラーが発生するたびに手作業で修正するのではなく、InformaticaやTalendなどの抽出・変換・ロード(ETL)ツールを使って、こうした作業を自動化できます。例えば、SQL Server Integration Services(SSIS)を使って顧客記録と出荷記録を比較し、問題が発生した場合、例えば1人の顧客に異なる住所から複数の荷物が届いた場合は、既存のマスターレコードを調整するか、新しいレコードを作成して修正できます。
データウェアハウスによってこのような修正が可能になるのは、企業が大量のデータを長期にわたって追跡・更新できるためです。その結果、エラーが蓄積して見過ごされることがありません。また、データウェアハウスを構築すれば、IT部門は最小限の労力で機能を追加できます。規制が変わったり、データに新たな用途が生じたりするたびに、データシステムを一から作り直す必要はありません。必要に応じて組み込みのデータ管理機能を活用することで、IT担当者がアドホックなソリューションをつなぎ合わせる作業に費やす時間も短縮できます。
RTDW処理におけるデータウェアハウス
リアルタイムデータウェアハウジング(RTDW)とは、企業のデータが情報システムに入ると同時に、分析のためにすべてのデータを即時処理することを指します。これにより、コストと時間のかかる事後処理や、長く滞留するデータのバックログを効果的に削減、または解消できます。RTDWが企業のビジネス成果の向上に役立つ主なメリットは次のとおりです。
- 事業部門のユーザーやカスタマーサービス担当者を即座に意思決定できるよう支援
- より正確な予測
- 更新や照合の削減による、より優れたデータガバナンスとセキュリティ
- リアルタイムの検証、品質保証、エラーチェックによるデータ品質の向上—データが継続的にクリーンアップ、更新、検証される
- 業務の合理化。非効率の特定やプロセスの最適化に役立つ
- 予測分析と自動診断レポートによるコスト削減
- 早期検知と解決による手作業の処理エラーの削減
- 高度な高速データ取得による業務効率の向上
- 顧客の行動やパターンへのリアルタイム対応によるカスタマーサービスと顧客満足度の向上
- 問題への迅速な対応によるリスク低減
- 効率的なリソース利用による設備投資の削減
- 手作業への依存低減によるビジネスの俊敏性とレジリエンスの向上
物流と製造は、リアルタイムデータウェアハウジングが業務に大きな影響を与え得る2つの業界です。例えば製造業者は、リコールや予防措置を開始できるよう、部品の取り付け直後に不良を把握したいと考えるかもしれません。物流事業者であれば、出荷データを分析して需要急増に備え、配送ルートを最適化できます。
ビッグデータ分析におけるデータウェアハウジング
大量のデータを扱う組織、例えば毎月数百万件のクレジットカード取引を処理するインターネット企業は、そのすべての情報を管理する必要があります。データウェアハウスは膨大な量のデータを迅速かつ確実に処理するよう特別に設計されているため、分析に不可欠なツールです。
リレーショナルデータベースなどの従来のデータ処理システムでは、このようなデータ量に対応できません。セキュリティやデータベースインデックスなどの必要な機能も不足しており、書き込みと読み取りの両方でレイテンシーが大幅に増加します。
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データドリブンな意思決定におけるデータウェアハウス
データウェアハウスソリューションを使えば、企業の過去データから得た新たな洞察に基づいて、重要なビジネス上の意思決定を下せます。得られた知識を、マーケティング活動に注力する分野や、開発すべき製品・サービスなど、大局的な計画に生かすこともできます。
例えば、セント・アンドルーズ大学では、学生データに関する洞察を得るため、学生管理者がデータウェアハウスとレポーティングシステムを大いに活用していました。1万人を超える学生のデータを保持することで、大学のレガシーシステムには数多くの問題が生じていました。同大学はシステムにハイブリッドアーキテクチャとアプローチを導入し、職員がオンデマンドで学生データを分析できるようにするとともに、将来のアップグレードや開発に対応できる柔軟性を持たせました。
ビジネスインテリジェンスにおけるデータウェアハウス
エンドツーエンドでシステムを可視化するには、企業の構造化データと非構造化データをすべて集約できるハブとして機能するBIプラットフォームが必要です。オンライントランザクション処理(OLTP)用のデータウェアハウスは、大量のトランザクションデータの保存には適していますが、ビジネスインテリジェンス向けには最適化されていません。OLTPシステムとBIシステムの設計によっては、両者を統合できない場合もあります。一方、オンライン分析処理(OLAP)システムは高速なデータ処理と分析に最適化されており、大量のデータから迅速かつ容易に洞察を引き出し、パターンや傾向を特定してビジネス上の意思決定に役立てられます。
OLAPデータウェアハウスは、重要な情報にリアルタイムでアクセスしやすくするとともに、重要なデータを1カ所に統合して複雑なデータクエリを簡素化します。すでにオペレーショナルデータストアを導入しているものの、ビッグデータ戦略をさらに発展させたいのであれば、スケーラブルなビジネスインテリジェンスプラットフォームを構築することが、企業全体で情報発見の取り組みを前進させる鍵となります。
まとめ:企業向けデータウェアハウス
データウェアハウジングにより、企業は過去のデータのパフォーマンスを把握して効果的な計画を立てられるほか、重要なビジネス上の意思決定を行う際に参照できる履歴情報を得られます。データウェアハウスは、分析とビジネスインテリジェンスのために膨大な量の構造化データと非構造化データを保存するよう設計されており、包括的かつ履歴的な記録を提供し、企業にとっての「信頼できる唯一の情報源」として機能します。データウェアハウス戦略を成功させれば、企業は現在の立ち位置を正確に把握し、長期的な成長を促す測定可能なベンチマークを設定できます。
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