ソフトウェアデファインドストレージ(SDS)は、ソフトウェアデファインドインフラストラクチャの構成要素であり、ソフトウェアがもたらす自動化と正確性によって、データセンターがストレージやITリソースを管理できるようにする。
以下の市場分析と考察では、データセンター技術が変化を続ける中で、ソフトウェアデファインドストレージの主なメリットと今後の展望を示す。
ソフトウェアデファインドストレージ市場
SDS市場の成長
Mordor Intelligenceは、世界のソフトウェアデファインドストレージ市場における大幅な25.8%の年平均成長率(CAGR)を予測しており、市場規模は2020年の年間94億米ドルから2026年には372.4億米ドルへと拡大する見込みだ。しかしMordorは、SDS市場の急速な成長に対応できるストレージおよびセキュリティ運用担当者は、それほど増えないと予測している。
ソフトウェアデファインドストレージは、クラウドへの完全移行に備えができていない企業向けに、オンプレミスのデータストアを最適化してきた。
しかし、ソフトウェアデファインドストレージは、継続的に改善しなければ、いつまでも成長を続けることはできない。Statehubの共同創業者兼CTOであるCyril Plisko氏は、SDSが人気を維持するにはイノベーションが必要だと説明した。
「現代のクラウド環境では、SDSは徐々に魅力を失っています」とPlisko氏は語る。「クラウドはリソースをサービスとして利用する形態により適しており、ストレージもその一つになっています。アプリケーションが必要としているのは物理ストレージではなく、データです」
Plisko氏は、特にクラウドストレージがリソース・アズ・ア・サービスに対する企業の高まるニーズに応える中で、マネージドサービスへの移行が進むと見ている。
SDSの成長に関する市場予測は依然として堅調であり、ソフトウェアデファインドインフラストラクチャが近い将来なくなることはないと示唆している。ただし企業は、将来を見据える上で、マネージドサービスの台頭を常に念頭に置く必要がある。
ソフトウェアデファインドストレージの特徴
ソフトウェアデファインドストレージシステムの主な特徴は次のとおりだ。
- シンプロビジョニング:現在の使用量にかかわらずドライブ容量の一部を確保する従来の方法とは異なり、ストレージを動的に割り当てる仕組みで、実際の使用量に応じて割り当てる。
- 幅広いハードウェア:ソフトウェアデファインドインフラストラクチャは、従来のハードウェアベースのインフラストラクチャほどベンダー固有のハードウェアに依存しないため、データセンターで利用できるハードウェアの選択肢を広げられる。
- ポリシーベースの管理:事前定義されたポリシーによって、インフラストラクチャがストレージリソースをどのように処理するかを指定する。
- 自動化の強化:ソフトウェアデファインドデータセンターでは、ソフトウェア層がストレージシステムを管理するため、管理業務の一部を人手から切り離せる。
ソフトウェアデファインドストレージのメリット
ソフトウェアデファインドインフラストラクチャは、従来のハードウェア中心の環境と比べて効率を高める。
非構造化データの管理
企業が保有するデータ全体の少なくとも80%は非構造化データだ。通常はデータベースに格納され、検索しやすい文字やメタデータを備える構造化データに比べ、検索ははるかに難しい。一方、非構造化データは、企業が絶えず作成するテキストファイル、マルチメディアファイル、メール、Webサイトのデータなどで構成される。
SDSベンダーのDatacoreは、COVID-19のパンデミック中に非構造化データが急増したことを確認している。リモートワークへの移行によって、保存が必要な情報がさらに増えたためだ。ソフトウェアデファインドストレージシステムは、ミッションクリティカルなワークロード向けのホットストレージであれ、アクセス頻度の低いデータ向けのコールドストレージであれ、最も有効な場所にデータを保存するインテリジェントな技術を利用している。
コストの削減
ソフトウェアデファインドストレージによって、企業はx86サーバーなど、ベンダー固有のハードウェアより安価な汎用ハードウェアを利用できる。またSDSは、企業に必要なハードウェアの量をより正確にプロビジョニングする。一方、より硬直的なハードウェアだけのアプローチでは、ストレージ要件をこれほど細かく扱えない。
ベンダーロックインの軽減
ソフトウェアデファインドストレージは、ハードウェア障害の修理費用を支払わなければならなくなる可能性を低減する。
アクセス速度の向上
ソフトウェアデファインド技術は、データへのアクセスを高速化する。グローバルカタログによってストレージリソースを利用可能にし、すぐにアクセスできるようにすることで、ソフトウェアデファインドインフラストラクチャ内でのハードウェアのプロビジョニングを高速化する。汎用サーバーを購入してセットアップできることも、ストレージのプロビジョニング全体の高速化につながる。
ソフトウェアデファインドストレージのユースケース
ソフトウェアデファインドシステムによって、ユーザーはデータセンター内でシナリオをテストできる。
例えば、ある主任ソフトウェアエンジニアは、Nutanixのハイパーコンバージドインフラストラクチャ(HCI)ソリューションであるAOSについて、「さまざまな環境でアプリケーションのシミュレーション、負荷テスト、ストレステストを実行でき」、また「テスト結果に基づき、各コアに対して適切な値でシステムをプロビジョニングできる」と述べている。これはGartner Peer Insightsのレビューによるものだ。ワークロードをテストし、それに応じてストレージなどのリソースをプロビジョニングできれば、データセンター管理者は潜在的なシステム負荷を事前に把握できる。
あるITエンジニアは、DatacoreのSANsymphonyを8年間使用し、複数のストレージ管理機能が役立ったと評価している。
「階層化テクノロジーは素晴らしかった(PCI-Express Flash Tier 1+FC-SAN上のClassic SASハードウェアストレージ)」と、同エンジニアはGartner Peer Insightsのレビューで述べている。
また、Datacoreのスナップショット、ミラーリング、継続的データ保護機能についても評価している。SDSソリューションでは、データ保護とリカバリを機能に組み込んでいることが多い。
ソフトウェアデファインドストレージのプロバイダー
ソフトウェアデファインドストレージ市場における主要企業には、次のような企業がある。
- Citrix
- Dell Technologies
- Fujitsu
- HPE
- Huawei
- Symantec
- NetApp
- Western Digital