データは、どうやら常に移行が必要なようだ。サポート終了を迎えたシステムから最新・最先端のシステムへ、オンプレミスからクラウドへ、あるいは業務システムから長期アーカイブへと、データは常に移動している。
データ移行市場における5つのトレンドを紹介する。
1. 非構造化データの移行
2022年、CIOは今後も、次世代アプリケーション、クラウド、モノのインターネット(IoT)、エッジ、場所を問わず働ける環境の継続的な拡大によって変化するデータやワークフローの要件に対応する、インフラ近代化プロジェクトに注力するだろう。多くの優先事項リストのトップに挙がるのは、非構造化データを対象とするデジタルトランスフォーメーション(DX)施策になる。データベースなどの「構造化」データは決して時代遅れではないが、文書、画像、動画などの「非構造化データ」は、企業内で最も急速に増加しているデータカテゴリーだ。
「したがって、CIOとそのチームにとって重要になるのは、非構造化データを理想的なプラットフォームへ迅速、安全かつ正確に移行し、その後の保護とライフサイクルを効果的に管理できるソリューションを導入することだ」と、Datadobiの製品マーケティング担当バイスプレジデント、Steve Leeper氏は述べた。
「しかし何より重要なのは、分析、機械学習、ビジネスインテリジェンスの活動を促進できる最適な場所へ非構造化データを移し、ビジネス上の有利な意思決定を迅速に行えるようにすることだ」
これは的を射た指摘だ。非構造化データの移行の多くは、人工知能(AI)や分析アプリケーションからデータにアクセスできるようにするために行われている。場合によってはデータを社内で移動させるだけだが、別のケースでは情報をクラウドへ移す必要がある。
2. 移行ソフトウェアの統合
かつては、レガシーアプリケーションから最新システムへデータを移すといった、特定の種類の移行専用ソフトウェアが提供されていた。最近では、クラウドベンダーが組織による大容量データのクラウド移行を支援するソフトウェアを考案した。さらに、現地に送付できるハードウェアを開発し、すべてのデータをその装置に読み込んでからクラウドプロバイダーへ輸送できるようにした。これにより、すべてのデータをウェブ経由で移行する際のネットワーク過負荷を防げた。
しかし、StorCentricのCTO、Surya Varanasi氏によると、データ移行ソフトウェアの対象範囲は拡大している。チャネルソリューションプロバイダーもエンドユーザーも、データサイロの解消に役立つ、インテリジェントでクラウド対応のデータ移行ソフトウェアを求めている。
「2022年、ユーザーは、ディスク、テープ、パブリッククラウドまたはプライベートクラウドを含む異種ストレージ環境間で、ベンダーに依存しないファイル移行、レプリケーション、同期を実現する、包括的なソフトウェアソリューションを求めるだろう」とVaranasi氏は述べた。「これによりユーザーはデータサイロを解消し、従業員の生産性を高め、データ保護のレイヤーを追加できる。
「ユーザーは、数百万のファイルを管理できる非プロプライエタリなサーバー以外には満足しないだろう。そのサーバーは、組織固有の要件に基づいてインテリジェントなポリシーを設定し、既存のインフラやサポート対象のS3互換クラウドと統合できなければならない。そうすればユーザーはクラウドインフラを活用できる」
3. データファーストの移行
データ移行は、おおむね避けられず、リスクが高く、苦痛を伴うものとみなされている。ユーザーは3~5年ごとにハードウェアを更新し、そのたびに大規模なリフト・アンド・シフトを余儀なくされていた。クラウドへの移行では、ワイドエリアネットワーク(WAN)経由で移行を実施しなければならず、複雑さが増しただけだった。
データ主導型移行という言葉が普及し始めている。ストレージ容量を基準に移行を計画するのではなく、データファーストのアプローチなら作業を小さな単位に分割できる。まずデータを分析し、その後、ワークロード、データ種別、その他の主要な価値に基づいて移行または移動すれば、より俊敏に対応できる。これにより、大規模で業務を混乱させていた作業を、管理しやすくリスクも低い小さな単位に分けられる。
「データ主導型移行は、顧客がクラウドへ移行する際に特に重要だ」と、Kompriseの製品マーケティング担当ディレクター、Steve Pruchniewski氏は述べた。
「オンプレミスからクラウドへ一括移行するのではなく、求める性能、機能、コストを実現するため、適切なデータセットを適切なクラウドサービスへ移すという考え方だ。これは現在のマルチクラウド環境のトレンドにも沿っている」
このデータ主導型アプローチは、データ配置を継続的に最適化する機会ももたらす。データ中心のアプローチなら、データを適切な場所に配置し、常に適切なタイミングで適切な場所に置いておける。
4. データベースの移行
データベースはかつて、常に社内に置かれていた。しかし、Striimの成長・製品担当ディレクター、John Kutay氏は、リソースの最適化やコスト削減、パブリッククラウドやハイブリッドクラウドへのデータベース移行といったITスタックの最新要素の採用に向けて、データベース全体を戦略的に移行する動きがあると指摘する。社内のデータベースは、分析、顧客向け施策、マーケティング、その他のエンタープライズシステムとより容易に連携できるクラウドへ、ますます移行している。
5. クラウド間の移行
移行といえば、以前は主にオンプレミスからクラウドへの移行だった。現在、移行の大半はクラウドから別のクラウドへの移行である。レジリエンスの確保、別のプロバイダーによるより有利な割引、あるいは災害復旧(DR)を目的として、企業はクラウド上のデータを移動させている。
「あるクラウドから別のクラウドへ、コスト効率よく、適時にデータやアプリケーションを移す動きが明確なトレンドになっている」と、StorageIO Groupのアナリスト、Greg Schulz氏は述べた。
確かに、クラウドプロバイダー間には高速ネットワークが存在するかもしれない。しかし、人々が認識し始めている課題の1つは、一般にクラウドへのデータ投入は無料である一方、データを取り出す際には料金がかかることだ。そのため、クラウドからのデータエグレスへの認識を高め、その影響を軽減する方法をめぐる動きが生まれている。