Red Hat Virtualization(RHV)は、KVMハイパーバイザー上で稼働するエンタープライズ向けx86仮想化プラットフォームで、主要な仮想化ワークロードをサポートし、Red Hat Enterprise LinuxとKVMを基盤としている。安定した基盤の上でリソース、プロセス、アプリケーションを仮想化し、クラウドネイティブかつコンテナ化された将来に備えることができる。
Red Hat Virtualizationは、2009年にボストンで開催されたRed Hat Summitで初めてリリースされた。RHELベースの集中管理サーバーとともに、SPICEプロトコルおよびVirtual Desktop Server Manager(VDSM)を使用する。この仮想化ソリューションは、Red Hat Virtualization Manager(RHV-M)とRed Hat Virtualization HypervisorsまたはRHV Host(RHV-H)という2つの主要コンポーネントで構成される。
Red Hat Virtualizationの全体像と、ハイパーバイザー分野における位置付けを以下で詳しく見ていく。
Red Hatとハイパーバイザー市場
Maximize Market Researchによると、ハイパーバイザー市場の規模は2022年に12.1億ドルと推定され、2027年には44.6億ドルに達すると予測されている。2022年から2027年までの年平均成長率(CAGR)は29.78%となる。また、組み込みハイパーバイザー市場の価値は2021年に52.1億ドルで、2028年には73.6億ドルに達し、2022年から2028年までのCAGRは5.90%になると予測されている。
仮想化市場の価値は2020年に627億ドルで、2026年には1,204.1億ドルに達し、2021年から2026年までのCAGRは11.5%になると予測されている。
Maximize Market Researchによると、Red Hat Virtualizationは仮想化プラットフォーム市場の推定市場シェア8.03%を占め、Red Hat Enterprise Virtualizationはエンタープライズ仮想化市場で推定0.37%の市場シェアを持つ。
Red Hat Virtualizationの機能
Red Hat Virtualizationには、効果的かつ効率的な仮想化サービスを提供し、仮想化ワークロードの自動化、管理、モダナイズを支援する豊富な機能が備わっている。
集中管理とセキュリティ
Red Hat Virtualization Managerは、検索を中心としたグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)による集中管理を実現する。ダッシュボードには、CPU、メモリ、ストレージなど、ホストリソースのグローバルな利用状況が表示される。
RHVでは、Red Hat OpenShift Container Platforms上で稼働する仮想マシン(VM)を直接管理・制御できる。Secure Virtualization(sVirt)とSecurity-Enhanced Linux(SELinux)テクノロジーも組み込まれており、攻撃からハイパーバイザーを保護し、セキュリティを強化する。
自動化と統合
Red Hat Virtualizationは、OpenShiftおよびAnsible自動化プラットフォームと統合できる。OpenShift virtualizationは仮想化ワークロードをモダナイズし、プライベートクラウドへのワークロード移行やアプリケーション設計を容易にする。Ansibleはインフラストラクチャとリソースを構成することで、管理・運用を効率化する。
RHVはRed Hat Gluster Storageもネイティブにサポートする。RESTful APIにより管理とプログラミング設定を自動化でき、Simple Network Management Protocol(SNMP)によってサードパーティー製監視システムとの統合も可能になる。
可用性とワークロード管理
RHVでは、ホスト障害に備えてVMを高可用性に設定でき、ホストには電源ベースおよびストレージベースのフェンシングを設定できる。高度なサービスレベル契約(SLA)マネージャーにより、基盤となるインフラストラクチャリソース向けにホストとVMのポリシーを定義できる。アプリケーションを中断することなくメモリやCPUリソースを追加でき、リソースオプティマイザーはクラスタ内の既存VMを自動的に負荷分散する。
差別化要因
Red Hat Virtualizationの主な差別化要因は以下のとおりだ。
広範な統合
Red Hat Virtualizationでは、単一の仮想化プラットフォームを使って、多数のVMの作成、起動、停止、一時停止、移行、テンプレート化を行い、さまざまなハードウェアやソフトウェアと連携できる。RHVは、全体的なコストを削減するプラットフォームおよびパートナーソリューションのエコシステムを基盤としており、Red Hat Enterprise Linux、Red Hat OpenStack Platform、Red Hat Ansible Automation Platformとの統合をサポートして、IT全体の生産性を向上させる。
クロスプラットフォーム対応と移行
Red Hat Virtualizationは、Red Hat Enterprise Linux、Windows Server、SUSE Linux Enterprise Serverなど、複数のプラットフォームをサポートする。RHVは、Red Hat Migration and Modernization Solutionsを使ってVMワークロードのモダナイズに必要な移行作業とリスクを判断でき、RHV ManagerとコマンドラインツールによってVMware vCenterからワークロードを移行できる。
容易な導入と利用
Red Hat Virtualizationには、導入を迅速化する便利なツールが多数用意されているため、ユーザーはRHVをすぐに使い始められ、別ベンダーからの移行も自動化できる。RHVには、デスクトップとサーバーのプロファイルをサポートするエンタープライズ向け仮想化ソリューションにユーザーが期待する多様なツールが備わっている。さらにRHVは、10年以上にわたるオープンソースKVMとoVirtのイノベーションを基盤に、エンタープライズ向け仮想化ソリューションを開発、テスト、サポートしている。
Red Hat Virtualizationのユースケース
Red Hat Virtualizationは、拡張性、セキュリティ、パフォーマンスなどを理由に、さまざまな業界の組織で利用されている。
「常に航空機が空を飛んでいる、年間365日稼働する事業として、可用性は業務、ひいては顧客の安全にとって重要です。Red Hat Virtualizationにより、環境全体で何が起きているかを一元的に確認できるようになりました。以前はそれができなかったのです」—British Airways、UNIX and Linux infrastructure consultant、Richard Dawson
「競合製品と比べ、Red Hatは明らかに最良の選択でした。Technical Account Managerによるサポートとコンサルティングサービスを利用でき、Red Hatは企業が成功に必要とするすべてを提供しています」—Employers、EVP and CIO、Jeff Shaw
「Enterprise Architectとして、私は日々Red Hatの仮想化機能を扱っています。Red Hatを使えば、標準化されたイメージをクラウド環境に簡単かつ迅速に適用できます。通常は1時間もかかりません。そのため、設計・承認済みソリューションをユーザーコミュニティーに迅速に提供できます。標準的なプロセスなら数週間かかるところを、ユーザーは1日でアプリケーションを稼働させられます」—Syntel、infrastructure architect/capacity planner、Ron Goulden
Red Hat Virtualizationのユーザーレビュー
Red Hat Virtualizationのサービスは、複数のユーザーレビューサイトでおおむね肯定的な評価と推奨を得ている。G2のユーザー評価は5点満点中4点だ。Gartner Peer Insightsによると、ユーザー評価は5点満点中4.3点で、83%が推奨すると回答している。
Gartner Peer Insightsのユーザーレビューに基づくカスタマーエクスペリエンスの評価は以下のとおりだ。
- 評価と契約:5点満点中4.3点
- 統合と導入:5点満点中4.3点
- サービスとサポート:5点満点中4.3点
- 製品機能:5点満点中4.4点
また、TrustRadiusによると、ユーザーはRed Hat Virtualizationを10点満点中7.2点と評価しており、機能別の評価は以下のとおりだ。
- 仮想マシンの自動プロビジョニング:10点満点中8点
- 管理コンソール:10点満点中7.3点
- 仮想マシンのライブバックアップ:10点満点中7.3点
- 仮想マシンのライブマイグレーション:10点満点中7点
Red Hat Virtualizationの価格
Red Hat Virtualizationは、予算に制約がある大規模環境向けの導入に対応し、仮想化サブスクリプションにはワークステーションとサーバーの仮想化が含まれる。Red Hat Virtualizationの価格は、契約年数とハイパーバイザー数によって異なる。
価格エディションはCloud StandardとPremiumの2種類ある。Cloud Standardエディションはハイパーバイザー1台当たり年間999ドルから、Cloud Premiumエディションはハイパーバイザー1台当たり年間1,499ドルからとなっている。
CorpFlexのCTO、Diogo Santos氏は、「お客様が時間、コスト、セキュリティの要件を満たすために、最適な環境でワークロードを実行できるよう支援したいと考えています。Red Hatによって、この可能性を実現できると確信しています」と述べている。
結論
Red Hat Virtualizationは、1つのクラスタで最大400台のホストをサポートし、VM数に制限はない。また、仮想CPUのホットプラグをサポートし、RHELとは対照的にゲストマシンを無制限に利用できる。Red Hat Virtualizationは柔軟で可用性の高いソリューションを提供し、企業のインフラストラクチャ全体のコスト削減にも貢献する。
適切なハイパーバイザーサービスは、ハードウェアの機能を高めることで、企業がビジネス目標を達成するのに役立つ。Red Hat Virtualizationは有力な選択肢になり得る。