バックアップソフトウェアが単純だった、古き良き時代が懐かしい。
バックアップするデータと保存先のデバイス(テープやハードディスクドライブ)を選び、夜間または週末に実行するスケジュールを設定すれば、それで終わりだった。
現代のバックアップシステムははるかに高度になっている。複数の場所やメディアへのバックアップ、完全なクラウド運用、処理を高速化するための異なるメディア間でのバックアップのステージング、増分バックアップ、重複排除や圧縮などが可能だ。
バックアップソフトウェアを取り巻く環境は変化している。バックアップソフトウェア市場における主な動向を以下に挙げる。
ランサムウェア対策
組織を身代金要求の対象にするため、攻撃者がバックアップまで感染させることに成功してきた。そのため、ランサムウェア対策はバックアップベンダーにとって急速に必須条件となっている。
「バックアップソフトウェアにおける最も重要な動向は、ランサムウェア攻撃を迅速に検知し、そこから復旧するベンダーの能力が絶えず向上していることだ」と、George Crump氏はStorOneのCMO(最高マーケティング責任者)は述べた。
「ベンダーは、ブロックレベルのバックアップによってよりきめ細かな保護を可能にし、インスタントリカバリ機能によってバックアップストレージのターゲット上にアプリケーションのデータを即座に展開し、迅速に復旧できるようにしている。検知では読み書きアクティビティの異常な急増を探し、最後に正常だったデータのコピーを示す手がかりを提供する」
その結果、現代のバックアップストレージには、多数のバックアップジョブをより高頻度で処理するため、少なくとも一定量のフラッシュ容量が必要になる。また、バックアップソフトウェアのインスタントリカバリ機能を補完するフラッシュ層も必要だ。さらに、バックアップストレージのターゲットは、バックアップデータをイミュータブルに保存することで、ランサムウェア耐性を高める追加のレイヤーを提供する必要がある。
バックアップとサイバーセキュリティの融合
これは、かつては別々の領域だったバックアップソフトウェアとサイバーセキュリティが、全体として融合しつつあることを意味する。
IT運用部門とバックアップ管理者がバックアップと予算を所管している一方、セキュリティの専門知識はCISOの組織にあることが多い。両者は認識を共有する必要がある。
「当初、バックアップは洪水や火災、さらにはサーバールームのスプリンクラー作動といった物理的脅威からデータを守るために不可欠だった。しかし現在では、クラウドの登場によってそれは問題ではなくなった」と、AsigraのCRO兼CMOであるPeter Nourse氏は述べた。
「誰もが夜も眠れないほど懸念している脅威は、マルウェア、特にランサムウェアだ」
サイバー犯罪者は、組織内の隙や、多くの組織に残る時代遅れのバックアップセキュリティを悪用している。高度な攻撃は、バックアップ保護の一般的な対策であるイミュータブルストレージやエアギャップストレージにも日常的に侵入する。トロイの木馬/スリーパー攻撃や認証情報の窃取など、何年も前から存在する攻撃手法が使われている。
「残念ながら、IT運用部門はこうした攻撃手法を把握しておらず、最後の防衛線が十分に保護されていると思い込んでいる可能性がある」とNourse氏は述べた。
「最も優れた組織は、進化する攻撃ベクトルに合わせて発展する、統合型かつ多層型のセキュリティを備えたバックアップソリューションを活用している」
バックアップ管理
あまりにも多くの場所に大量のデータが存在するため、バックアップ管理はある種の悪夢になっている。
例えば、障害から復旧する組織が、バックアップに複数の不備があることに気づくのは珍しくない。バックアップの破損やセキュリティの不備、あるいはサイト全体、アプリケーション、データベースがエンタープライズバックアップのスケジュールに含まれていないことなどが原因で、バックアップ管理は複雑化している。
こうした懸念に対処するため、集中管理が台頭している。高度な管理コンソールによって、IT部門はバックアップの完全性と整合性を確認できる。
「企業がハイブリッドITモデルへ移行し、ワークロードがデータセンター、パブリッククラウド、エッジに分散する中、場所にかかわらずこうしたワークロードを保護することが重要だ」と、GartnerのアナリストであるMichael Hoeck氏は述べた。
「大手バックアップベンダーは、メインデータセンターに導入でき、最近ではパブリッククラウドでホストされるサービスとして提供することも増えている管理プラットフォームを提供することで、この課題に対応している」
データベースバックアップの拡大
かつてデータベースは、リレーショナルデータベース管理システム(RDMS)内だけに存在していた。しかし、非構造化データの増加に伴い、代替アーキテクチャーが必要になった。
例えばNoSQLデータベースは、リレーショナルテーブルとは異なる方法でデータを保存する非表形式のデータベースだ。21世紀初頭に登場して以来、普及が進み、広く利用されるようになった。
バックアップソフトウェアベンダーは当初、この流れへの対応にやや出遅れた。しかし近年、各社はNoSQLバックアップ機能をソリューションに組み込み始めている。ビッグデータプロジェクトでは、OracleやMicrosoft SQLのRDBMSデータベースではなく、MongoDBやCassandraなどのNoSQLデータベースを活用する傾向がある。例えばRubrikとCohesityは、この形式のバックアップを組み込めるよう、他社を買収している。
「Commvault、Dell Technologies、Veritas Technologiesなどの既存ベンダーは、バックアッププラットフォームにこうした機能をネイティブに組み込むことで、これらのバックアップ要件への対応を始めている」と、GartnerのHoeck氏は述べた。