フラッシュストレージ市場は、過去10年にわたって大きく成長してきた。かつてはソリッドステートドライブ(SSD)に大金を支払う必要があった。SSDは依然としてハードディスクドライブ(HDD)より高価だが、価格は大幅に下落し、現在ではほとんどのノートPC、サーバー、ストレージデバイスに搭載されている。
10年前、EMCのCEOがSSDの提供開始を発表し、出席者たちが驚嘆しながらSSDを一人ずつ手渡していたのを覚えている。私も、HDDではなくSSDを搭載した新しいSony VaioノートPCを手に入れ、羨望の的になった。現在では、ほとんどのノートPCにSSDが搭載されているが、その事実に気付いていないユーザーも多い。同様にエンタープライズ分野でも、SSDは非常に高価なオプション機能から、ほとんどの調達要件で必須となるまでに変化した。
フラッシュストレージ市場
International Data Corp.(IDC)によると、フラッシュベースのストレージシステムは2021年第1四半期に27億ドルの売上高を生み出した。同じ期間のエンタープライズストレージシステムの売上高が67億ドルだったことを考えると、オールフラッシュ製品が市場の40%超を占めたことになる。さらに、ハイブリッドフラッシュアレイ(25億ドル相当)を加えると、オールフラッシュまたは一部フラッシュを採用したシステムが、エンタープライズストレージシステムの売上全体の約80%を占めていることになる。これは、フラッシュがオプションの追加機能にすぎなかった数年前からの大きな変化だ。現在では、ほとんどのシステムにとって必須になっている。
フラッシュストレージの機能とメリット
速度
メモリがディスクからの読み取りより何桁も高速に動作することは、よく知られている。メモリほど高速ではないものの、フラッシュはストレージ性能を大幅に向上させる。つまり、フラッシュへのデータ書き込みやフラッシュからのデータ読み出しをはるかに高速化でき、レイテンシー、アプリケーションの応答性、組織の生産性に多くのメリットをもたらす。
「フラッシュストレージは、ハードドライブベースのシステムやハイブリッド(フラッシュ+HDD)アーキテクチャと比べて高速で、信頼性が高く、レイテンシーも低く予測しやすい」と、GigaOMのアナリスト、Enrico Signoretti氏は述べている。
ボトルネックの解消
エンタープライズシステムでは、ハードドライブがボトルネックになることが多い。CPUは猛烈な速度で動作し、メモリはそれよりわずかに遅い。一方、ハードドライブは大きく後れを取る。ストレージシステムやサーバーにフラッシュを追加すれば、システムのボトルネックを解消できる。
「フラッシュのメリットには、生産性の向上、限られた設置スペースでより多くの処理を実行できること、サーバー、ストレージ、I/Oのボトルネックとそれに伴うオーバーヘッドの削減または解消、ホストサーバーのCPUサイクルの解放などがある」と、StorageIO Groupのアナリスト、Greg Schulz氏は述べている。
管理
オールフラッシュアレイは、ハードドライブの範囲を超える高度なデータ管理サービスを提供する。例えば、論理ボリュームの作成方法に制限はない。
消費電力
フラッシュはHDDよりも消費電力が少なく、発熱も少ない。その結果、必要な冷却量も少なくて済むため、データセンターにとって重要な要素となる。
豊富な機能を備えたストレージ
ほとんどのオールフラッシュアレイには、データの信頼性向上、必要容量の削減、データ保護を実現するレプリケーション、スナップショット、データ重複排除が組み込まれている。
省スペース
オールフラッシュアレイはハードドライブより小型で、ラック数の削減に役立つ。
フラッシュストレージの利用事例
ハイブリッドクラウド
「フラッシュは、オンプレミス、エッジ、パブリッククラウドのインフラ利用を支えるハイブリッドクラウド環境を実現する変革の原動力になりつつある」と、Hitachi Vantaraのプロダクトマーケティングマネージャー、Ian Clatworthy氏は述べている。
エッジでの性能
エッジにフラッシュを導入すれば、ユーザーはデータの近くで高性能な人工知能(AI)や分析処理を実行できる。
ストレージの最適化
「フラッシュによって、従来は不可能だった複数の最適化技術を実装でき、システム全体の効率と密度を高められる」と、Signoretti氏は述べている。
柔軟性
「フラッシュストレージのもう1つのメリットは、その柔軟性と、従来のリムーバブルストレージよりも動的な環境に導入できる能力だ。例えば、IoTデバイス、カメラ、センサーのキャッシュや永続バッファとして利用できる」と、Signoretti氏は述べている。
IT変革
「フラッシュストレージによって、あらゆる規模の組織がIT変革を実現できる」と、Dell Technologiesのストレージおよびデータ保護担当SVP兼CTO、Arthur Lent氏は述べている。
「レイテンシーの低減やIOPSの向上から、ワークロードの統合、ハードウェアの省スペース化、消費電力の最小化、管理コストの削減まで、幅広いメリットを提供する。」
バックアップのステージング
フラッシュは、バックアップ性能の向上によく利用される。例えば、バックアップのステージングに使用できる。すべてのデータをテープやディスクに書き込み終えるまで一晩かかる代わりに、まずフラッシュへはるかに短時間で書き込み、その後、最終的なバックアップメディアへ余裕を持って転送できる。
フラッシュストレージのプロバイダー
フラッシュストレージシステムの主要メーカーには、次の企業がある。
- Dell
- Hitachi Vantara
- Hewlett Packard Enterprise(HPE)
- Huawei
- NetApp
- IBM
- Pure Storage
- DDN
- Kaminario
- Tintri