ハードディスクドライブ(HDD)は、エンタープライズデータセンターやストレージアレイでよく使われる主要な不揮発性メモリーストレージデバイスの1つです。
機械式デバイスであり、浮動ヘッドによって読み書きします。また、オフラインバックアップ向けの一般的なソリューションでもあります。データストレージ業界ではソリッドステートドライブ(SSD)をめぐる議論が盛んですが、HDDは今も広く利用されており、改良も続いています。
ハードディスクドライブ市場における主要なトレンドをいくつか、以下で紹介します。
HDDのトレンド
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1. フルディスク暗号化に注力
自己暗号化ディスク(SED)とフルディスク暗号化(FDE)は、ソフトウェアベースの暗号化より安全なストレージ暗号化方式です。ソフトウェアベースの暗号化は、攻撃者に認証情報を盗まれると解除される可能性があります。
フルディスク暗号化の処理では、デバイスのCPUに共通鍵を保存しません。
ディスクドライブ向けのハードウェアベース暗号化はより安全で、データへのアクセスを困難にします。ハードドライブが暗号化され、オフラインになっていれば、攻撃者はそのデータを読み取れません。
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2. 他のハードウェア保護技術を活用
ストレージのセキュリティ環境を改善するには、ハードドライブに集中的なセキュリティ制御が必要だと、Continuity Softwareのマーケティング担当副社長Doron Youngerwood氏は指摘しています。
データ保護全般でも、ランサムウェアなどデータを標的とする窃取への防御を強化する必要があります。
「既存の脆弱性管理ソリューションは、ストレージとバックアップをカバーしていません。多くの組織は、この重大な盲点を認識していません」とYoungerwood氏は述べています。
企業には「ストレージおよびバックアップサービスを強化する新たな方法」が必要だと同氏は述べました
Youngerwood氏は、ハードドライブ技術の進歩だけではデータ保護とセキュリティに関するすべての問題を解決できないと認めていますが、ストレージ環境のセキュリティを改善できる技術はいくつかあります。
「これには、データロック機能(イミュータブルドライブ)に対するハードウェアサポートが含まれます。これにより、ハッカーがデータのコピーを侵害できないようにすることができます」とYoungerwood氏は述べています。
同氏はさらに、「鍵管理システムとの統合を改善したデータ暗号化向けハードウェアサポート」や、「機密性の高い環境でストレージをさらに安全にする、プロトコル暗号化(SATA、Fibre Channel)への対応」も挙げました。
市場全体として、データのリカバリーコピーを保護し、ストレージのセキュリティを改善する新たな方法が必要だと同氏は述べています。
3. ランサムウェア対策を強化
あらゆるストレージ媒体には、保存データをサイバー攻撃、特にランサムウェアから保護する対策が必要です。ランサムウェアは、盗んだデータを暗号化し、データを取り戻すために身代金を要求する悪質なデータ窃取手法です。
サイバーセキュリティベンダーのSophosが2021年に実施した調査では、5,400社を対象とし、37%がランサムウェア攻撃を受けたと回答しました。
「企業はランサムウェアや内部脅威の防止策を求めています」と、Gula Tech Adventuresの社長Ron Gula氏は述べています。「そのため企業は、データが保存されている場所で、暗号化、認証、アクセス制御、ユーザー行動監視を活用するアクセス制御型データソリューションを導入しています。通常、企業はこうした技術をネットワーク層またはエージェント層に導入します」
同氏によると、Racktop Systemsは自社のCyberstorageソリューションにアクセス制御を実装しています。
Racktopのランサムウェア検知・防止ソリューションであるBrickStorは、アレイ内でハードドライブとソリッドステートドライブの両方を使用します。RacktopはSeagateと提携し、同社の自己暗号化ハードドライブを利用しています。このドライブは暗号鍵をリセットし、自動的にロックできます。
Racktopの共同創業者兼CTOであるJonathan Halstuch氏によると、BrickStorには感染したユーザーまたはマシンだけをブロックし、システムの残りの部分は処理を継続できる機能もあります。
「データ窃取の部分まで実際に検知して、そのユーザーをブロックしたり、ランサムウェアウイルスに感染したマシンのユーザーをブロックしたりできます」とHalstuch氏は述べています。「他の[感染していない]ユーザーは作業を続けられます」
ハードドライブは、保存データをランサムウェアから保護するための最良のオフラインストレージソリューションの1つです。SSDより安価で、テープよりも高速にアクセスできます。
4. ドライブ容量を拡大
世界のハードドライブの台数ベースの売上は減少しているものの、Horizon Technologyによると、HDDの総ストレージ容量は増加しています。
Horizonは、「HDD市場は2020年、出荷容量が1ゼタバイト(ZB)に達するという印象的な節目を超えました。これは、新たに1,000,000,000テラバイト(TB)のストレージが加わったことに相当します」と説明しています。
IDCは、2020年に作成されたデータ量が多かったと報告しており、その一因はパンデミック中に人々が自宅で過ごす時間が増えたことです。また、IDCと共同で実施した2020年の調査で、Seagate Technologiesは、2025年までにデータ作成量が指数関数的に増加し、175ゼタバイトに達すると予測しています。
全体として、標準的なエンタープライズ向けハードドライブはソリッドステートドライブより大容量です。データセンター向けSSDにも数テラバイトの製品は数多くありますが、HDDが優位に立つのは容量当たりのコストです。ハードドライブは今も全体的に安価です。
SSDが普及する一方で、ハードドライブの容量は増加を続けており、IDCは、少なくとも2024年まではHDDが最も一般的な導入ストレージ媒体であり続けると予測しています。
5. ストレージアレイを増強
ディスクアレイはハードドライブを格納するだけではありません。冗長性、階層化、ドライブレベルの暗号化といった機能も備えています。
ストレージアレイは、データセンターやエッジ環境など、複数の環境で利用されています。
エッジデータセンターの規模は、HDDとSSDのフォームファクターやストレージアレイのサイズを部分的に決定します。
多くのエンタープライズアレイは、HDDとSSDの両方をサポートしています。エンタープライズ向けストレージアレイには、次のような製品があります。
- Hewlett Packard Enterprise HP StorageWorks XP10000
- Dell PowerVault ME4
- Dell/EMC Disk Storage Array
- Lenovo ThinkSystem DS4200