コンプライアンス、データ活用の実現、アナリティクスを背景に、ほぼすべてのIT組織や企業が、ビジネス上重要なデータを移行・管理するソリューションを探している。
その結果、データ移行市場は堅調に拡大している。業界専門家は、市場規模が2022年には約115億ドル、2026年までには最大228億ドルに達すると予測している。
データ移行の機能
データをある場所から別の場所へ移すのは、決して簡単な作業ではない。多くの場合、十分なデータ移行戦略の欠如と実行上の不備が原因となる。
レガシーデータは、必ずしも新しいシステムと整合するとは限らない。不要なデータまで新システムに持ち込めば、リソースも無駄になる。しかしこれは、データアーキテクチャのモダナイズを求める企業のニーズが高まる中で、避けて通れない課題でもある。残念ながら、IT管理者がオンプレミスやクラウド上のデータを移動・保護する際、適切なプロトコルがなければデータが破損する可能性がある。データの移動中には、人為的ミスや機械的エラー、悪意ある攻撃が発生し、データ全体の完全性が損なわれることもある。そのため、2022年にはデータ管理とデータ移行において、データ完全性が重要な役割を果たすことになる。
「データが侵害されると、企業はプロジェクトの遅延や完全な停止、巨額のコンプライアンス関連の罰金、さらには組織の評判低下に直面するリスクがあります」と、DatadobiのCTO、Carl D’Halluin氏は述べた。「したがって、顧客データの価値を維持するデータ管理プロセスは、これまで以上に重要です」
そのため、データ移行ツールは、単にデータをある場所から別の場所へ送るだけのものではなくなっている。現在では、プロセス全体を通じて品質保証(IQA)機能、リスク評価プロセス、適切なアカウント管理、強化されたセキュリティ設定を組み込んでいる。
データ移行のメリット
データ移行には多くのメリットがある。もちろん、データを必要な場所に配置できるようになる。古いアプリケーションから特定のデータを苦労して移動・処理し、最新のシステムで読み取れるようにするよりも、すべてのデータを新しいシステムやクラウドへ恒久的に移行するほうが合理的な場合が多い。これによりパフォーマンスが大幅に向上し、レガシーデータの分析もはるかに容易になる。
データ移行のもう1つのメリットは、企業が時代遅れで、採用・確保が難しいスキルセットに縛られなくなる可能性があることだ。データがCOBOLや古いコードで記述されていると、そのデータを活用するのは難しい。ほかのエンタープライズシステムやクラウドベースのシステム、アナリティクスアプリでも、そのデータを十分に扱えないことが多い。データをクラウドや最新のアプリケーションに移行すれば、より幅広い可能性が開かれる。
データ移行のユースケース
データベース移行の主なユースケースは、企業がより最新のデータアーキテクチャを導入できるようにすることだ。これにより、データをより有効に活用し、ビジネス上の意思決定を改善するとともに、クラウドなどの最新インフラを活用して業務やビジネス成果を向上させられる。
成長・製品担当ディレクターのJohn Kutay氏(Striim)は、企業がデータベースを移行する方法には3つの戦略的アプローチがあり、それぞれに固有のメリットがあると指摘した。具体的には、一括データベース移行、段階的データベース移行、ゼロダウンタイム・データ移行だ。
一括データベース移行
一括移行では、1回の処理で、ある時点にソースシステムからターゲットデータベースへすべてのデータを移行する。多くの場合、週末や計画停止の時間帯に実施される。
この戦略のメリットは、すべてが時間を限定したイベント内で完了するという単純さにある。一方で、システムを24時間365日稼働させている企業にとっては、望ましくないダウンタイムが発生する。
段階的データベース移行
段階的移行では、アジャイル型のアプローチでデータベースを移行する。移行を複数の小規模なサブ移行に分割し、それぞれに範囲、期限、目標を設定する。これにより、データベース移行チームは各フェーズの成功を確認しやすくなる。
サブプロセスに問題が生じた場合は、失敗したプロセスだけをやり直すのが一般的だ。その結果、失敗から得た教訓を後続の実行に生かせる。予期せぬ障害が起こりにくい理由の1つでもある。欠点は、段階的なデータベース移行にはより多くの時間がかかることだ。2つのシステムを同時に稼働させる必要があるため、より多くのリソースと労力を消費する。
ゼロダウンタイム・データ移行
ゼロダウンタイム移行では、ソースデータベースからターゲットデータベースへデータを複製する。移行中も、クライアントはソースデータベースにアクセスして操作できる。メリットとして、事業への影響が少ないこと、移行が速いこと、コストを最小限に抑えられることが挙げられる。特に、ビジネスへの影響や全社的な移行作業を考慮した場合に有効だ。
データ移行プロバイダー
データ移行市場を代表するプロバイダーには、次のような企業がある。
- Dell Technologies
- Ballard Chalmers
- Relevant Software
- AWS
- Google Cloud
- Microsoft Azure
- IBM
- Quest
- Citrix
- CommVault