バックアップは不可欠でありながら、なぜか軽視されがちな分野の一つだ。組織は、自分たちはバックアップを十分に行っていると考えがちだ。しかし、表面下では軽視の実態が明らかになっている。
- 特に新しいアプリケーションなど、一部のシステム内のデータがバックアップ対象に含まれていない。
- バックアップウィンドウが長すぎて、バックアップジョブが完了しない。
- バックアップ内のデータが破損している。
- バックアップに時間がかかりすぎるため、ストレージ管理者やバックアップ管理者は手を抜き始める。
- バックアップが必要になってもリカバリできない、あるいはデータの一部を復旧できない。
- バックアップのテストが一度も行われていない。
- バックアップインフラが老朽化しているにもかかわらず、アップグレードの優先度が低すぎる。
こうした問題の一つ以上に悩む組織が多いことを考えれば、バックアップ・アズ・ア・サービス(BaaS)が人気を集めているのも不思議ではない。企業は、基盤となるインフラの管理、ソフトウェアの更新、ストレージの提供をすべて担うプロバイダーに料金を支払う。
BaaS市場における主なトレンドをいくつか紹介する。
1. 自動モニタリング
BaaSを提供する企業は、新規顧客ごとに、管理が必要なバックアップアプリケーションの組み合わせが異なることに気づいていると、Bocadaは指摘している。
そのためBaaSプロバイダーは、SLAのガイドラインを満たしながら、複雑性をコスト効率よく管理することに苦労している。市場に出回るバックアップソフトウェアアプリケーションの数が増え続ける中、このやりくりが容易になる見込みはない。
Bocadaの新たなBaaSモニタリングレポートによると、BaaSプロバイダーの44%は、今後1〜2年以内に、単一のダッシュボードでバックアップアプリケーションのモニタリングを自動化することを見込んでいる。自動化された一元管理により、BaaS事業者はこうした要素のバランスを取り、事業を成長させられるようになる。
「BaaSプロバイダーが、異種混在するバックアップ環境を一元的かつ自動的に監視する体制を導入する準備をしておくべきだ」と、BocadaのCEOであるMatt Hall氏は述べた。
2. バックアップコストの管理
BaaSを導入した組織の多くは、財務面への影響を十分に検討していなかったと、GartnerのアナリストであるMichael Hoeck氏は指摘する。
主に目を向けていたのは、バックアップのハードウェアとソフトウェア環境全体の刷新など、大規模な設備投資(CapEx)を回避できる点だった。
BaaSの総コストを十分に検討する時間を取っていなかったのだ。予想外の請求を避けるには、こうした点を改める必要がある。
Hoeck氏はユーザーに対し、「永続ライセンスからサブスクリプションベースのライセンスモデルへ移行する場合の、長期的な総保有コストを徹底的に理解すべきだ」と助言した。
3. 細かい条件に注意する
以前の顧客は、ある料金モデルも別の料金モデルも大差ないと考え、BaaSプロバイダーと簡単に契約していた。しかし、認識は変わった。
ベンダーには、料金の仕組みを完全に明らかにするよう、より厳しい目が向けられている。GartnerのHoeck氏によると、ユーザーは現在、BaaSベンダーの課金方法がコストにどのような影響を及ぼすのかを理解するため、契約の詳細まで確認している。
Hoeck氏は、BaaSのさまざまな料金モデルについて時間をかけて検討するようユーザーに勧めている。例えば、仮想マシン(VM)単位、ソケット単位、ノード単位、ユニバーサル、フロントエンドのTB単位、バックエンドのTB単位、エージェント数に基づくモデルなどがある。
どのモデルを選ぶかによって全体のコストは異なり、すべての組織に適した唯一の正解があるわけではない。結果は環境によって変わる。
「組織のアプリケーションおよびインフラのロードマップに基づき、適切なモデルに投資すべきだ」とHoeck氏は述べた。
4. パブリッククラウドの利用
パブリッククラウドは、エンタープライズ分野でイメージに問題を抱えている。時には、それももっともな理由による。
特に金融サービスや医療などの分野では、セキュリティとコンプライアンスの問題が数多く存在する。
しかし、それは必ずしもパブリッククラウドを避けるべきだという意味ではない。実際には、コスト、データの機密性、セキュリティ、コンプライアンス、レイテンシーなどの要素に基づいて、バックアップのニーズに優先順位を付けるのが賢明な戦略だ。
重要なデータには高コストのティアやオンプレミスストレージを使い、それほど重要でないバックアップデータは、安価なパブリッククラウドストレージに保存する。例えば、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)とAzure Blob Storageは、人気の高いパブリッククラウドストレージの保存先だ。
「オンプレミスストレージのコストを削減するため、バックアップコピーをパブリッククラウドへ、またパブリッククラウド内でティアリングできるベンダーを選ぶべきだ」と、GartnerのHoeck氏は述べた。
「テスト/開発やDRのユースケースに対応するため、パブリッククラウド内のバックアップコピーからアプリケーションを復旧できるソリューションを選ぶべきだ」
5. BaaSの代替手段
最後に取り上げるトレンドは、必ずしも適切な選択肢ではないにもかかわらず、多くの組織がBaaSを導入していることだ。
組織によっては、SaaSモデルがうまく機能する。すべてをプロバイダーに任せ、クラウド経由でバックアップを提供してもらうのだ。しかし、他の組織にとっては、インフラストラクチャ・アズ・ア・サービス(IaaS)やプラットフォーム・アズ・ア・サービス(PaaS)の方が適している場合がある。
すべては、組織の成熟度、基盤となるバックアップインフラの状態、総コスト、そしてバックアップに対応できる人員の有無に左右される。
場合によっては、バックアップワークロード、データ移動、セキュリティをより細かく制御する必要がある。その場合はIaaSの方が適している。そうしたニーズが少し薄れれば、PaaSが適切な選択肢になるかもしれない。そして、すべてをプロバイダーに任せることに問題がない組織にとっては、BaaSが最適な方法だ。