オブジェクトストレージは華やかな印象があるかもしれない。しかし、クラウドであっても、ブロックストレージにはストレージの世界で確かな役割がある。
企業やITチームがクラウドブロックストレージ市場で目にしている主なトレンドを紹介する。
1. AI技術の導入
クラウドブロックストレージなどのストレージ技術は、AIアプリケーション、ワークロード、ユースケースのパフォーマンスを最適化するための重要な基盤であり続けている。
ストレージシステムやソフトウェア定義ストレージ(SDS)全体にAI技術を組み込むことで、企業はより大きな価値を提供し、CAPEXとOPEXを大幅に削減し、あらゆるアプリケーションとワークロードで実環境のパフォーマンスを向上させられる。
「2022年には、AIを使ってストレージシステムとSDSを構築するようになる」と、InfinidatのCMO、Eric Herzog氏は述べた。
「このトレンドによって、ストレージ環境でAIの力を余すところなく活用できるようになる」
2. ブロックストレージとハイブリッドクラウド/コンテナの統合
InfinidatのHerzog氏によると、ハイブリッドクラウドとコンテナ技術への移行は、今後も加速度的に広がっていく。
多くのワークロードがハイブリッドクラウド構成へ移行するなか、ハイブリッド環境全体で、コア、エッジ、クラウドに加え、仮想化レイヤーとコンテナレイヤーをサポートするインフラが不可欠になる。
これにより、企業は自社のビジネスに適したSLAで、適切なエンドユーザーサービスを提供する能力を高められる。
「ハイブリッドクラウド統合機能を備えることの重要性は、2022年に大幅に高まる」とHerzog氏は述べた。
3. ストレージのエアギャップ化
ハイブリッドクラウドのサイバーセキュリティ戦略に不可欠な要素としてエアギャップなどが加わるなど、ストレージシステムはさらなる強化が進んでいる。
これはサイバー攻撃の脅威によるものだ。脅威は極めて深刻化しており、CEOの66%が第1位の事業上の脅威と回答したFortune誌「500」CEO調査では。さらに悪いことに、データ侵害の特定と封じ込めにかかる平均日数は287日である。
企業やサービスプロバイダーがデータレジリエンスとサイバーレジリエンスを備えていなければ、サイバー犯罪者は容赦なくサイバー攻撃を仕掛け続ける。要するに、サイバー攻撃を受けるかどうかではなく、いつ、どのくらいの頻度で受けるかが問題なのだ。
備えには、企業のサイバーセキュリティ戦略における重要な構成要素として、データとサイバーのレジリエンスを備えたストレージを持つことが含まれる。
保護対策の1つは、ブロック、ファイル、オブジェクトを問わずデータをオフラインで保管し、必要な場合には容易に取り出せるようにすることだ。このニーズを満たすテープシステムが登場している。
「データをオフラインで保管できるため、テープによるエアギャップは情報がランサムウェアやその他のマルウェアに感染するのを防ぐ」と、Fujifilm Recording Media U.S.A.のテープエバンジェリスト、Rich Gadomski氏は述べた。
4. アプリケーション/ワークロードのパフォーマンスと可用性
実環境のアプリケーションパフォーマンスにサーバーが重要なのと同様に、ストレージも重要である。
トランザクション処理の多いブロックワークロードでは、100マイクロ秒未満の読み取り・書き込みにおけるアプリケーションレイテンシーが、より重視されるようになる。
注目できるストレージパフォーマンス指標は数多くあるが、InfinidatのHerzog氏によると、実環境のトランザクションパフォーマンスを決める最大の要因はレイテンシーである。
「実際のアプリケーションレイヤーでは、ITチームは読み取り側で最短50マイクロ秒、書き込み側で最短75~80マイクロ秒のパフォーマンスを確認できる」とHerzog氏は述べた。
「それ以下を受け入れるということは、企業が最適とはいえないレガシーソリューションに縛られていることを意味する」
しかし、システムの最大可用性も同じく重要だ。ストレージが高速でも利用できなければ、パフォーマンスを論じても意味がない。
企業は、ストレージの可用性を100%にすることを、これまで以上に重視するようになる。
5. 統合型ストレージアレイ
経済変動やビジネスの不確実性を背景に、コスト削減を迫られる企業のCIOへのプレッシャーは高まる一方だ。ITリーダーはデータインフラからコストを削減する方法を必死に探している。
ソフトウェア定義ストレージアーキテクチャは高いパフォーマンスと低レイテンシーを実現するため、複数のワークロードを1つのストレージアレイに統合し、CAPEXとOPEXを大幅に削減できる組織が増えている。
アプリケーションやワークロードごとに50種類のアレイを稼働させる必要は、もはやない。エンタープライズストレージソリューションなら50個すべてのアプリケーションを実行できる。ワークロードは1~2台のストレージアレイに収められると、InfinidatのHerzog氏は述べた。
さらなるイノベーションもコストを削減している。最新のストレージシステムは、AIの精度または自動化によって、キャッシュなどのパフォーマンスパラメーターを稼働中に自動調整できるようになった。
さらに、これをプロアクティブサポートを備えたAIOps中心のストレージ監視ソフトウェアと組み合わせることで、コストを削減できる。ServiceNow、Virtana、VMware、Splunkなどのデータセンター向けAIOpsベンダーのソフトウェアを使って自社のAIOpsストレージソフトウェアを拡張しているストレージ企業もあり、ストレージのOPEXだけでなく、データセンター全体のOPEXも削減している。