事業継続、または事業継続計画(BCP)とは、災害の発生中および発生後に組織が事業活動を維持・再開できる能力を示すものだ。
この計画には、リスク評価・管理から、ミッションクリティカルな業務の復旧方針の策定まで、あらゆる要素が含まれる。BCPを策定する主な目的は、組織の資産とデジタル資産を保全することだ。
世界の事業継続市場について、詳しく見ていこう。
事業継続市場
事業継続マネジメント市場は、2021年に5億1,000万ドルと推定された。2021年から2030年までの年平均成長率(CAGR)は15.5%で推移し、2030年末には18億1,000万ドルに達すると予測されている。
また、推定105億ドル規模の、より大きなビジネスプロセス管理市場の一部でもあり、地域別に分類されている。
- 米国市場は、2020年に28億ドル規模と推定された
- 中国市場は、2027年までに40億ドルに達し、CAGRは12.1%になると予測されている
- 日本とカナダは、それぞれCAGR 6.1%、7.8%で成長すると予測されている
- 欧州では、ドイツのCAGRが7.1%と、最も高い水準の一つを維持すると予測されている
業界別では、事業継続マネジメント市場を牽引しているのは次の分野だ。
- 製造
- 小売
- エネルギー・公益事業
- IT
- 通信
- 銀行・金融サービス・保険(BFSI)
- 医療
- 政府
- 運輸・物流
事業継続の機能
事業継続に総合的に取り組むには、複数種類の計画が必要となる。それぞれが事業の1つ以上の側面を担い、災害後の持続可能性と継続性を確保する。
危機管理計画
危機管理計画(CMP)は、企業の収益、主要業務、評判に影響を及ぼす可能性のある災害の後に、さまざまな担当者や部門が取るべき手順を定める。
緊急事態管理計画
緊急事態管理計画(EMP)は通常、環境上の危険や大規模災害への対応に特化し、従業員、職場、ITハードウェアの安全を確保する。内容は組織の所在地ごとに異なり、地域で定められた規制に従わなければならない場合もある。
事業復旧計画
事業復旧計画(BRP)は、インシデント後に事業活動をできるだけ早く再開するために必要な手順を定める。元のリソースの一部または全部が利用できなくなった場合に備え、代替リソース、手順、リソースのサプライヤー、職場の代替手段を含む。
災害復旧計画
災害復旧(DR)計画は、企業のIT部門を対象とし、インシデント後に失われた、または破損したデータを復元するために必要な方針、手順、ステップを定める。
緊急時通信計画
緊急時通信計画(ECP)は、企業の評判や収益を損なう可能性のある誤解を解き、状況を説明するため、株主や顧客に適切かつ迅速に報告するのに必要となる。
さまざまな事業継続計画は、いずれも次の3つの主要要素に基づいている。
復旧手順:不測の事態に対応するために用意された計画とリソース
復旧担当者:計画を実行に移す責任を負う個人とチーム
データバックアップ:信頼できるバックアップ場所から破損・消失したすべてのデータをできるだけ早く復元することが重要となる
BCP策定の重要性
最近の調査によると、パンデミックによる経済的影響への備えができていなかった企業の半数超のうち、27.2%はBCPを策定しておらず、24%は策定中だった。パンデミック前の2019年調査では、準備ができていた企業の割合は21%だった。
「事業継続計画を策定することは、組織のレジリエンスにとって極めて重要だ。事業の中断は、収益の損失、コストの増加、収益性の低下につながる」とAgility Recoveryの投稿は述べている。
「パンデミックは、事業継続計画を持っていなかった企業にとっては策定する機会となり、計画を持っていた企業にとっては、何がうまくいき、何がうまくいかなかったのかを文書化する機会となった。これにより、事業継続計画を調整し、俊敏性を維持できるようになる」
Marius Mihalecは、Forbes Technology Councilのメンバーとして次のように述べている。「企業がデータを保護するために何をしているかにかかわらず、すべての企業はサイバー攻撃の標的になり得る。だからこそ、災害や危機の発生中および発生後も重要な事業機能を維持するために、事業継続計画を策定することが不可欠だ。
「より迅速な危機対応を実現するには、サイバーセキュリティ戦略と事業継続戦略が互いに補完し合うようにする必要がある」
事業継続のメリット
事業継続計画は、事業計画に自由に追加したり削除したりできる選択肢ではない。事業や組織を運営し、その長期的な存続を確保するうえで不可欠な要素だ。
事業継続の主なメリットには、次のようなものがある。
- 危機対応コストの削減
- 顧客や株主からの信頼の強化
- 企業の評判の保護
- 復旧手順の迅速化
- 緊急事態による損害の軽減
- 規制要件への準拠
- 長期・短期雇用の従業員の信頼感の醸成
事業継続のユースケース
以下の事例は、さまざまな業界の組織が導入している事業継続ソリューションを紹介するものだ。
Just Eat
Just Eatは、英国のハイブリッド型オンラインフードデリバリーマーケットプレイスだ。15万5,000店を超えるレストランの多様な料理を、数千万人の顧客に提供している。
Just Eatの成長率は2桁に達していたが、遅延とスケールの問題に直面し始めた。
長年にわたりGoogleと何度も協業してきたJust Eatは、Google WorkspaceとともにGoogle Cloudを利用してプラットフォームを拡張することを決めた。これは同社の事業継続計画に不可欠なものとなった。
「競争力を高めるため、データの活用に多大な努力を注いでいる」とJust EatのCTO、Richard Haigh氏は述べている。
「Google Cloudを使って実現できるパーソナライゼーションのレベルと、それを実行できる規模によって、顧客とのつながりが大幅に強化され、競合他社との差別化につながっている」
Googleの支援により、Just Eatはデータの遅延を24時間から1秒に短縮し、Workspaceを使ったスタッフ間の継続的な協業とコミュニケーションを可能にするとともに、パーソナライズされた顧客体験を提供できるようになった。
Rural Servicios Informáticos
Rural Servicios Informáticos(RSI)は、スペインの農村貯蓄銀行における金融情報の処理を担うCaja Rural Groupの金融サービス企業だ。RSIの名前で事業を展開する法人は45社、拠点は3,500カ所を超える。
数百万人の個人や金融機関の金融データを扱うRSIは、事業継続を確保するため、データガバナンスプロジェクトを統合し、重要な顧客情報とシステム情報を保護する必要があった。
RSIは、データ保護と復旧のために、Commvault Complete Backup and Recoveryに加え、Commvault Hyperscale SoftwareとCommvault IntelliSnapテクノロジーを導入することを決めた。
「Commvault Hyperscale Softwareにより、2つのデータセンターがバックアップ性能やネットワークトラフィックに影響を与えることなく、互いのバックアップとして機能できる」とRSIのストレージ管理部門責任者、Marián Moro Garrido氏は述べている。
「これにより、重要な顧客情報の拡張性と可用性がすでに向上している」
Commvaultとの提携により、RSIは1時間当たり4TBを超えるバックアップデータを転送し、データガバナンス機能を強化するとともに、顧客データの拡張性と可用性を高めることができた。
Accenture Singapore
Accenture Singaporeは、東南アジアの19を超える業界で250社以上の顧客にサービスを提供する経営コンサルティング企業だ。
Accenture Singaporeは、特に時間的制約のある業務と、それに関する情報にリモートでアクセスし、管理する新たな方法を求めていた。
Popul8に相談し、同社の360 Digital Twinソリューションを導入したことで、Accentureのチームは資産をリモートでマッピングし、業務拠点を視覚的に移動できるようになった。
Digital Twinはまた、業務効率を犠牲にすることなく、Accentureが事業継続方針と従業員の安全に関する優先事項を強化することを可能にした。
「COVID-19の状況により、働き方や、パンデミック後の業務の見方を、新しいどこからでも働くという常態に適応しながら、再構築せざるを得なくなった」とAccenture SingaporeのInnovation Hubチームは述べている。
「Popul8によって、課題を未来の機会へと変えることができた」
事業継続プロバイダー
世界の事業継続市場における主要プロバイダーには、次の企業がある。
- Adobe
- IBM
- Microsoft
- ASG Technologies
- SAP
- Tibco
- OpenText
- Oracle
- Appian
- Fujitsu