ハイパースケールデータセンターは、大量のデータを高速に処理できる拡張性を提供し、企業のデータニーズに応えます。一方、コロケーションデータセンターは、スペースや電力などの設備、その他の重要なリソースを借りられる柔軟性という、異なる価値を提供します。これにより、コスト効率に優れた拡張と管理が可能になります。インフラ投資の最適化を目指す企業にとって、この2種類のデータセンターの違いを理解することは重要です。本記事では、ハイパースケールデータセンターとコロケーションデータセンターを比較分析し、特定のインフラ要件に最適な選択肢を見極めるための情報を提供します。
ハイパースケールデータセンターとは
ハイパースケールデータセンター(HDC)は、運用企業の処理またはストレージのニーズに応えるため、巨大な規模で運用されます。「ハイパースケール」という言葉は、増大する需要に応じてコンピューターアーキテクチャを迅速かつ大規模に拡張できる能力を表します。この文脈では、ハイテク企業の膨大な処理負荷に対応できるよう構築されたデータセンターを指します。
一般的に、5,000台を超えるサーバーと10,000平方フィートを超えるスペースを備えたデータセンターは、ハイパースケールと見なされます。これは最低限の要件であり、HDCの中には100万台を超えるサーバーを収容するものもあります。ほぼ無限の処理能力を必要とするプロジェクトを支えるため、均一な構成での拡張を前提に設計されています。
HDCの構築には多額の費用がかかるため、利用できる企業はある程度限られます。Amazon、Google、Microsoftはいずれも独自のハイパースケールデータセンターを保有しています。こうした企業は通常、自社利用を目的に構築しますが、第三者にサービスを販売する場合もあります。
ハイパースケールデータセンターの仕組み
ハイパースケールデータセンターは、データを大規模に処理するため、専用の機器、ツール、ネットワークを使用します。分散コンピューティングアーキテクチャで連携する数千台のサーバーから構成されます。これらのサーバーはクラスター単位で稼働し、各クラスターが特定のワークロードを担当します。
ソフトウェアには、個々のサーバーに過度な負荷をかけずにワークロードを分散するロードバランシングアルゴリズムが組み込まれています。個々のサーバー上で複数の仮想サーバーを稼働させることも可能です。
ハイパースケールデータセンターで使用される高度なネットワーク技術には、ソフトウェア定義ネットワーキングやネットワーク機能仮想化があり、データトラフィックのルーティングや構成の柔軟性を実現して、パフォーマンスを最適化します。
コロケーションデータセンターとは
自社でデータセンターを運用する組織もあれば、プロバイダーのデータセンターの処理能力を利用するために料金を支払う組織もあります。コロケーションデータセンターは、その2つを組み合わせたものです。基本的には共有スペース型のデータセンターであり、複数の企業がそれぞれ自社のサーバーとネットワークインフラを所有・運用します。
メリットは数多くあります。規模の経済により、より低コストで利用できるため、小規模企業でも、施設全体を所有・運用し、人員を配置する場合より安価にデータセンターを構築できます。また、拡張性にも優れています。ほとんどの企業が自社内で実現できるものより信頼性が高く、土地の取得や建設という困難で時間のかかるプロセスを経ることなく、立地に恵まれた既存のデータセンターを活用できます。
コロケーションデータセンターの仕組み
コロケーションデータセンターは、企業ユーザーに対し、他の企業とデータセンターのスペースを共有できる機会を提供します。他のデータセンターと同じ技術を使用し、同じ機能を提供します。違いは、複数の企業のデータセンター運用が同じ物理施設内に存在することです。
データセンターを成功裏に運用するために必要なインフラは相当な規模になります。共有データセンターでは規模の経済を活用し、大量のサーバー群に十分な帯域幅と、温度などが管理された冷却環境を提供するコストを抑えています。
ハイパースケールデータセンターのユースケース
ハイパースケールデータセンターは、組織のニーズに応じて、さまざまな業界で多様な用途に利用されています。ここでは、代表的な例を紹介します。
クラウドコンピューティング
Software as a Service(SaaS)、Platform as a Service(PaaS)、データのホスティングと管理、およびInfrastructure as a Service(IaaS)の形態でサービスを提供する企業は、一般に、需要を満たすのに十分な電力を備えた集中型のハイパースケールデータセンターから運用しています。
ストリーミングサービス
ハイパースケールデータセンターは、必要な大容量ストレージとデータへの高速アクセスを提供することで、主要なオーバー・ザ・トップ(OTT)ストリーミングプラットフォームの大半を支えています。HDCにより、何百万台ものデバイスへデータを同時にシームレスに転送できます。
AIと機械学習アルゴリズム
ハイパースケールデータセンターは、大量のデータ処理要件に対応できるため、高負荷の人工知能および機械学習(AI/ML)アプリケーションを運用する企業にとって不可欠です。GoogleとIBMは、ディープラーニング研究やAIサービス向けに特化したハイパースケールデータセンターを提供しており、高速接続と膨大な処理能力を生かして、インテリジェントシステムの計算ニーズに効果的に応えています。
コロケーションデータセンターのユースケース
すべての企業が、ハイパースケールデータセンターの並外れた処理能力を必要とするわけではありません。ここでは、コロケーションデータセンターの代表的なユースケースを紹介します。
パフォーマンス、制御、コスト
コロケーションは、プライベートデータセンターの構築・維持よりも経済的です。そのため、データセンターのストレージ容量と処理能力を必要としながら、自前で構築するための費用や時間を負担できない企業が主な市場となります。データセンターのコロケーションは、従来型の二重床データセンターを構築する場合と比べ、コストを37~52%削減できます。コロケーションでは、クラウドソリューションでは得られない形でインフラを広範に制御できるほか、リソースを共有して電力・冷却設備への負荷を軽減することで、環境への影響を抑えることもできます。
冗長性
コロケーションデータセンターにバックアップシステムを置くことで、社内ストレージの二次的な保存先として、重要データに手頃なコストで冗長性を確保できます。
コンプライアンス
法令や規制上の要件によりバックアップをオフサイトで保管する必要がある企業は、コロケーションデータセンターのスペースを借りることで、こうした要件を満たし、コンプライアンスを維持できます。
結論:コロケーションとハイパースケールの比較
データセンターは、現代のビジネスにおける高性能なデータ処理・ストレージのニーズに不可欠であり、コロケーションデータセンターとハイパースケールデータセンターは、それぞれ異なる方法でこうしたニーズに応えます。コロケーションデータセンターは制御性、コスト効率、持続可能なインフラを提供する一方、ハイパースケールデータセンターは、クラウドコンピューティングやAIなどの用途に向けた膨大な処理能力と拡張性を重視します。それぞれのユースケースは、コスト、コンプライアンス、冗長性、拡張性、セキュリティといった要因によって決まりますが、一般的には、手頃なコスト、制御性、拡張性を求める企業にはコロケーションが適しており、大規模な処理要件や多様な用途にはハイパースケールが適しています。