ソフトウェア定義ストレージには、業務の拡張やストレージプロセスの自動化を目指す企業にとって大きなメリットがあります。これは、ストレージシステムの各部分を制御するソフトウェアと基盤となるハードウェアを切り離す、ストレージおよび管理のアプローチです。SDSは、企業に構成やハードウェアの柔軟性をもたらし、コストを削減できます。ただし、ソフトウェア定義ストレージは分散型であるため、新しい運用担当者にとって扱いが難しく、企業のインフラに複雑さを加える可能性があります。
ソフトウェア定義ストレージのメリット
ソフトウェア定義ストレージ(SDS)は近年、大きく普及しています。約10年前に登場して以来、技術的な課題を着実に克服し、市場シェアを伸ばしてきました。結局のところ、その魅力は将来性にあります。
柔軟性
「ソフトウェア定義ストレージの大きなメリットの一つは、柔軟性です。ハードウェアの種類を選んだり、仮想環境、コンテナ環境、クラウドプラットフォーム上で運用したりするなど、自分たちの方法でストレージシステムを構成・導入できます」と、Server StorageIOのシニアアドバイザリーアナリストで、『Software Defined Data Infrastructure Essentials』の著者でもあるGreg Schulz氏は述べています。
つまり、IT部門は機能追加のためにハードウェア一式を新たに購入するのではなく、既存のハードウェアを活用できます。これにより既存のストレージ資産の寿命を延ばせるだけでなく、ハードウェアのベンダーロックインを回避し、他の種類のストレージと比べて総保有コストを削減できます。さらに、ソフトウェア定義ストレージには、IT資産の将来性を確保できること、はるかに高い拡張性、性能向上、そして全体的な俊敏性もあります。
利便性とコスト削減
「ソフトウェア定義ストレージは、柔軟性、オープン性、そしてコストがすべてです。ユーザーは業界標準のx86サーバーやディスクハードウェアを柔軟に選択し、テナントが利用するストレージサービスのメニューをプログラムで定義できます」と、Red Hat Storage Marketingのシニアマネージャー、Irshad Raihan氏は述べています。「これらのサービスはセルフサービス型で、さまざまなインターフェース(ブロック、ファイル、オブジェクト)を提供し、性能、耐久性、可用性に関する幅広い要件に対応すべきです。」
これを可能にするのが、ソフトウェアを基盤となるハードウェアから切り離す仕組みです。従来のストレージユーザーがこのメリットを享受できるようになるまでには、長い時間がかかりました。提供されるストレージサービスは、ハードウェアインフラに固定されていたからです。Raihan氏によると、SDSユーザーは必要なハードウェアを、必要なときに、必要な相手から選べるため、一般的にコストを削減できます。ベンダーを自由に選択できることは、独自仕様による支配を受けないライフサイクルと、より幅広いエコシステムにもつながります。独自仕様のベンダー、スタートアップ、オープンソースコミュニティが、機能だけを基準に対等な条件で競争できるのです。
「さらに、ユーザーはアプリケーションの停止や業務の中断なしに、ストレージのローリングアップグレードを実施できます」と、Raihan氏は述べています。

ソフトウェア定義ストレージのデメリット
ただし、SDSのすべてが順調というわけではありません。メリットとデメリットの両方があります。SDSの課題には、統合に伴う問題、追加のソフトウェア層の管理、そして組織内でSDS文化へ移行する必要性などがあります。ストレージ管理者は従来型のインフラ構築方法に慣れているため、大きな変化を成功裏に導入するには時間と投資が必要です。
ハードウェアへの依存
Schulz氏は、一部のSDSソリューションが依然として特定の種類のハードウェアに依存していると警告しています。相互運用性も問題になり得ます。ハードウェアに依存しないとうたわれていても、一部のSDSプラットフォームでは、特定ベンダーのハードウェア互換性リスト(HCL)に記載されたハードウェアが必要です。
「SDSには、ストレージ機能をサポートするだけでなく、SDSソフトウェアスタックやストレージアプリケーションを実行するために、どこかの誰かのハードウェアが依然として必要です」と同氏は述べています。「SDSソフトウェアスタックの実行に安価で低コストのハードウェアを使うのが一般的ですが、その結果として性能の低いストレージソリューションを作らないよう注意してください。コスト削減を重視するあまり、サービスレベルや可用性を損なわないようにする必要があります。」
時間と人員の制約
SDSのDIY的な側面に魅力を感じる人は、環境の調整や最適化に実際どれだけ時間を費やしたいのかを考えるべきです。事前設計・事前統合されたソリューションを活用すれば、サービスやサポートにかかる時間を節約できることがよくあります。
同様に、IT部門がより少ないリソースでより多くの業務を求められている状況でSDSを展開することについて、Raihan氏は懸念を示しています。ストレージのベテランが減り、IT全般に対応するジェネラリストが増える中、SDSの課題がメリットを上回る場合もあります。
「ほとんどのSDSシステムは分散型であり、分散システムは新しい運用担当者にとって扱いが難しい場合があります」と、Raihan氏は述べています。「単一のローカルシステムは運用しやすいかもしれませんが、ローカルシステムを連合した構成は、分散システムと区別できないことがよくあります。」
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複雑さ
インフラを拡張すると、複雑さが増すことがよくあります。SDSの普及が進むにつれ、企業はストレージ環境を管理するために、より多くの人員を必要とするでしょう。ハイパースケールクラウドプロバイダーを例に挙げると、一般に、ペタバイト当たりの人員数という点で極めて高い効率を実現する、非常に優秀な人材を擁しています。ソフトウェア定義環境では、システムとソフトウェアで何ができるのかを明確に理解する責任が、性能、洗練度、柔軟性とともに生じるということです。
例えばRed Hatでは、SDS環境で同社のストレージを導入する人々に向けたトレーニングとコンサルティングを重視しています。そうすることで、避けられない初期の問題を、その過程で解消できます。
「Red Hat Storageを長期的に利用するスタッフ向けに、トレーニングコースの一つを通じた正式な知識移転を推奨しています。また、アーキテクチャ要件を満たし、プロジェクトを適切に開始できるよう、コンサルティングサービスによる支援も提供しています」と、Raihan氏は述べています。
SDSの導入には価値があるのか?
新しいソフトウェア導入プロジェクトでは、必ず問題に直面します。SDSも大規模なソフトウェア展開として捉えるべきです。ソフトウェアの世界で多くの変化がそうであるように、バグの発生、アップデートの必要性、統合上の課題を想定しておく必要があります。SDSも導入当初は例外ではありませんが、長期的には、柔軟性、俊敏性、ハードウェアからの独立性、緊密な統合、拡張性、高性能、低コストといった理想的なメリットへの扉を開く可能性があります。
ソフトウェア定義ストレージの導入には、メリットだけでなくデメリットもあります。ソフトウェア定義インフラの導入には時間がかかり、ソリューションを構成、監視、最適化できる人員の採用と育成も必要です。また、自由度やカスタマイズ性を求める場合に備えて、ハードウェアやベンダーに関する要件も把握しておかなければなりません。
しかし、多くの企業にとって、SDSのメリットは避けられない課題を上回ります。ソフトウェア定義ストレージ環境は、企業が求める拡張性とスピードの多くをすでに実現しています。もし、あなたの企業が次の条件に当てはまるなら:
- オンプレミスやクラウド上など、さまざまな環境にデータを保存している
- ストレージボリュームに対して、現在より大幅に多くの自動化機能を必要としている
- ストレージの階層化をより効率的に行ってコストを削減したい
- 厳しいベンダー要件から脱却したい、または汎用ハードウェアを利用したい
のであれば、ソフトウェア定義ストレージソリューションの導入を検討する価値があるでしょう。
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