コンテナ化されたワークロードやサービスの管理には、ストレージ、セキュリティ、ネットワークなどのサービスをオーケストレーションする一連の管理作業が必要となる。コンテナオーケストレーションはこうしたワークロードを自動化し、コンテナのデプロイ、管理、スケーリング、ネットワーク設定を簡素化する。
以下の6つのケーススタディでは、さまざまな業界におけるコンテナオーケストレーションの導入について、異なる視点を紹介する。
1. Pearson
7,500万人を超える学習者にサービスを提供し、2025年までにその数を2億人に増やすことを目指すPearsonは、スピードや可用性を犠牲にすることなく迅速にスケールできるITインフラを必要としていた。
「Pearsonの開発者が、まったく異なる方法でアプリケーションを構築、管理、デプロイできるプラットフォームを構築しなければならないと気づいた」と、PearsonでクラウドプラットフォームおよびSRE担当ディレクターを務めるChris Jackson氏は語る。
この目標を達成するため、Jackson氏とチームはDockerコンテナ技術とKubernetesオーケストレーションを選択した。柔軟性と管理の容易さを評価し、Pearsonはエンジニアの生産性向上を期待していた。
業種:教育
コンテナオーケストレーションソリューション:Dockerコンテナ技術とKubernetesオーケストレーション
成果:
- 生産性とデリバリースピードが大幅に向上。以前は9カ月かかっていたプロビジョニング作業が、数分で完了するケースもある。
- 開発者の生産性を15~20%向上
- 年間の繁忙期にも停止することなく、顧客とのSLAを達成
- 年間1~2回のリリースしか行っていなかったチームが、1日に複数回コードをリリース可能に
2. UPS
サプライチェーン管理・物流企業のUPSは、毎日2,000万個を超える荷物を配送している。施設運営者にモバイルでリアルタイムのデータにアクセスできる環境を提供し、データの洞察とスケジューリングを改善するため、UPSはコンテナ技術が最適なアプローチだと判断した。
さまざまなソリューションを評価した結果、UPSはRed Hat OpenShift Container PlatformとRed Hat Fuseを採用した。Red Hat Consultingと緊密に連携して得られた助言も、特に価値のあるものだった。
「以前は、事後対応が中心でした。情報を収集してから分析していたのです」と、UPSのシニアアプリケーション開発マネージャーであるStacie Morgan氏は語る。「現在は、荷物がネットワーク内をどのように流れているかを把握できるため、天候などの要因に基づいて、ハブのスーパーバイザーが取扱量や必要な人員を予測できるようになりました。データによって業務を最適化し、顧客満足度と収益性を高められます」
業種:サプライチェーン管理・物流
コンテナオーケストレーションソリューション:Red Hat OpenShift Container PlatformとRed Hat Fuse
成果:
- 開発サイクルを1年以上から数カ月または数週間に短縮
- 自動スケーリングと高可用性により、年末年始の配送需要のピークにも対応可能に
- 社内チームと外部パートナー間のコラボレーションが改善
3. Vanguard
金融サービス企業であるVanguardは、ITセキュリティのニーズから、コンテナ化が理想的な選択肢となった。膨大な1,000タイトルのアプリケーションライブラリを管理するには、スケーラビリティとディザスタリカバリを考慮しながら、インフラを低コストで拡張する方法を探す必要があった。
VanguardはAmazon Elastic Container Service(ECS)の利用を選択した。アプリケーションごとにリソースを分離、指定し、個別に料金を支払うことで、セキュリティを確保し、Vanguardはデータをクラウドに保存できるようになった。
「AWSのサービスを利用することで、Vanguardは透明性を高め、デプロイ頻度を向上させ、コストを削減する、従量課金モデルに基づくシステムをシームレスに設計しました。これにより、VanguardのマイクロサービスをAWS Fargate上のAmazon ECSで稼働させる移行パスが可能になりました」と、VanguardでAmazon ECSおよびAWS Fargateソリューション責任者を務めるBrian Kiefer氏は語る。
業種:金融サービス
コンテナオーケストレーションソリューション:Amazon Elastic Container Service(ECS)
成果:
- VanguardのIT部門がサーバーを管理する必要がなくなった
- コストを50%削減し、月に数十万ドルを節約
- 市場投入までの期間を3カ月から24時間に短縮
- AWS FargateとAmazon ECSのソリューションにより、2020年5月以降275%成長
- ディザスタリカバリ、スケーラビリティ、レジリエンスが向上
4. Complevo
Complevoは、自動車、公共交通、建設業界を中心とするソフトウェア開発会社だ。ドイツ第2位の自動車会社のスマートカーシステムを支えていることで、Complevoは革新的な企業として評価されている。その評価を維持するには、可用性を犠牲にすることなく迅速な開発とデプロイを支え、必要に応じてスケールできるITインフラを構築しなければならない。
信頼性の高いオンプレミス型クラウドソリューションを探した後、ComplevoはMirantisと提携し、同社のKubernetes Engineを利用した。Mirantisは柔軟でフル機能のプライベートクラウドを提供する。Complevoの多くの顧客がパブリッククラウドリソースの利用を認めていなかったため、これは重要な要件だった。
業種:ソフトウェア開発
コンテナオーケストレーションソリューション:Mirantis Kubernetes Engine
成果:
- クラスターの迅速なデプロイにかかる期間を1カ月からわずか1週間に短縮
- セキュアでコンプライアンスに準拠したオンプレミス型クラウド
5. KOHLER
KOHLERは、スマートホーム市場向けを含む、住宅やオフィス向けのキッチン・バス用品メーカーだ。
スマートホームには個人情報や各種設定が数多く含まれる。そのため、クラウドソリューションのパートナーを決める前に、KOHLERはMicrosoft Azureの包括的なセキュリティ監査を実施した。セキュリティ要件が満たされることを確認した同社は、コンテナオーケストレーションソリューションのAzure Service Fabricを含む、Azureの製品・サービススイートを採用した。
「スマート製品に参入したことで、より迅速に動く必要が生じました。Azureなしでは、これほど速く進めることはできませんでした」と、KOHLERのIoTエンジニアリング担当アソシエイトディレクターであるFei Shen氏は語る。
業種:消費財
コンテナオーケストレーションソリューション:Azure Service Fabric
成果:
- KOHLERの多数のアプリがマイクロサービスとしてオーケストレーションされている
- コネクテッド製品でのスマートホーム機能を迅速かつ確実に、応答性高く実現
6. Bandwidth
何百万人もの人々が利用する音声、メッセージング、911サービスを提供するAPIプラットフォームプロバイダーBandwidthは、小規模なインフラエンジニアチームで、より大規模な開発者・アプリケーション所有者チームを支えている。ワークフローに過度の時間がかかるようになると、コンテナオーケストレーションプラットフォームの導入が必要になった。
コンテナプラットフォームとしてRed Hat OpenShiftを選択したことで、Bandwidthはコンテナ化されたアプリケーションを一貫性のある方法で、迅速かつ安全にデプロイできるようになった。
「私たちの目標はプロビジョニング業務から脱却し、より興味深い課題に集中するとともに、社内顧客がリソースを待ち続ける状況をなくすことでした」と、BandwidthのシステムインフラストラクチャアーキテクトであるJeff Spahr氏は語る。
業種:通信
コンテナオーケストレーションソリューション:Kubernetes向けRed Hat OpenShiftコンテナプラットフォーム
成果:
- 開発者向けのオンデマンド型セルフサービスを実現
- リソースのプロビジョニングにかかる時間を数日から数秒に短縮