データセンターは、強力なハードウェアを収めたラックが並び、大規模な冷却・電力管理システムによって支えられた、100万平方フィートを超える空間を占めることがあります。それにもかかわらず、驚くほど少人数のスタッフで運用されています。データセンター自動化では、ソフトウェア、ロボティック・プロセス・オートメーション(RPA)、人工知能を利用して、多くの手作業や反復作業をなくし、機器のプロビジョニング、ハードウェアとソフトウェアの監視、レポートの作成、基本的なメンテナンスを行うことで、データセンターをより効率的に運用します。
この記事では、データセンター自動化について、その仕組みと企業にもたらす価値を詳しく解説します。
データセンター自動化が重要な理由とは?
初期のデータセンターは、サーバーやストレージアレイ、ネットワーク機器が置かれた地下室のような部屋でした。しかし、現代のデータセンターは巨大な倉庫のように見えます。自動化なしでは、これほど大規模なデータセンターを運用するのは不可能です。
小規模から中規模のデータセンターでさえ、手作業で運用するのは難しい場合があります。複雑さが非常に大きく、管理すべき事柄も非常に多くあります。しかも、手作業は時間がかかるだけでなく、エラーも起こりやすいものです。人的ミスは、ダウンタイム、サイバーセキュリティ侵害、システム障害の主な原因です。管理者が1人、システム設定を誤ったり、バックアップの実行を忘れたり、アラートを見落としたりするだけで、突然アプリケーションが停止し、セキュリティ侵害が発生する可能性があります。
データセンター自動化によって、運用を管理しやすくなります。多くのエラーを排除し、稼働時間と可用性の向上にもつながります。多くのデータセンターが、ミッションクリティカルな機器やアプリケーションをホストしていることを考えれば、ダウンタイムによる収益の損失や顧客の不満は深刻な結果を招きます。
情報技術(IT)と運用技術(OT)
自動化はITに不可欠ですが、データセンターでは、ITシステムと運用技術(OT)を連携させる手段としても重要です。ITはコンピューターシステムを指し、OTは電力の配電・管理、冷却・空調、加湿など、一般に機械的な要素を含む設備機器を稼働させるシステムを指します。
従来、ITシステムとOTシステムは別々に稼働しており、担当チーム同士が優先順位をめぐって対立することも少なくありませんでした。しかし現代のデータセンターでは、業務効率を高め、コストを削減し、プロセスを自動化するために、両者がシームレスに連携して動作する必要があります。OT関連の業務すべてがIT部門に取り込まれるとは限りませんが、統合システムによって、IT部門がこれらの機能をさらに多く担えるようになるでしょう。
詳しくはハイパースケールデータセンターとは?をご覧ください。大規模なデータ施設を運用する際の課題について、さらに詳しく解説しています。
データセンター自動化の仕組みとは?
自動化はソフトウェアレベルで実現されます。ハードウェアインフラ全体に設置されたセンサーに加え、データセンター全体のシステムから継続的に入力を受け取るソフトウェアエージェントや監視ツールに依存します。
最も普及している自動化の形態は、データセンターインフラストラクチャ管理(DCIM)によるものです。DCIMには、システムの統合、データの取り込み、ITシステム間およびITシステムとOTシステム間のワークフロー整理を支援する、あらかじめパッケージ化されたコネクターが含まれています。
データセンターインフラストラクチャ管理
DCIMソフトウェアは、センサーやAI搭載アプリケーションからデータを収集し、インフラを監視します。データを1つのポータルに集約することで、システムは任意の数のエンドポイントからのアラートを選別し、データセンター全体を横断したインサイトを提供できます。
施設によっては、異なるシステムから毎月最大9万件ものアラートが生成されることがあります。AIとアナリティクスによって、無視すべきアラートと自動的に対処すべきアラートを判断できるため、人間による手動対応が必要なアラートは大幅に減少し、場合によっては100件未満になります。
DCIMやその他の高度なデータセンター自動化は、現在進んでいるデジタル化の流れからも恩恵を受けています。OTツールの多くは依然としてアナログの世界にありますが、これらをアップグレードすることで、ITのワークフローと連携させることが可能になり、データセンター管理者は業務をより適切に調整できるようになります。
デジタルツイン
データセンターで利用されるもう1つの自動化手法であるデジタルツインは、データセンター全体における電力、冷却、ITシステムおよびコンポーネントの動作をシミュレーションする3D仮想レプリカを提供します。データセンターに予定されている大規模な変更をテストし、その結果やコストへの影響を予測したり、予期せぬ課題を明らかにしたりするために利用できます。
こうしたシミュレーションは非常に貴重です。デジタルツインは、データセンター全体が稼働している様子を示し、システム全体の健全性を追跡し、対処すべき問題を明らかにできるため、リアルタイムでのデータセンター監視にも使われ始めています。
データセンター自動化のメリット
データセンター自動化のメリットは、ユースケースによって異なります。データセンターの運用担当者も、自動化によって少ないリソースでより多くの業務を遂行できるという恩恵を受けます。データセンターを自動化するベンダーは、ストレージの効率化、アクセスと処理の高速化、信頼性の向上という形で、顧客にもメリットを還元できます。
データセンター自動化の代表的なメリットは次のとおりです。
- 全体を俯瞰—データが情報サイロに閉じ込められるのではなく、統合されてデータセンター全体を包括的に把握できるようになります。
- 生産性の向上—ワークフローを最適化し、退屈な作業を自動化することで、従業員の生産性とコラボレーションが向上します。
- プロビジョニングの高速化—自動化により、サーバーなどの機器をより迅速かつ確実にプロビジョニングできます。
- ダウンタイムの削減—障害が発生する前にデータセンターのスタッフへ潜在的な問題が通知されるため、自動化によって予期せぬダウンタイムの発生頻度を抑えられます。
- 一元化—自動化によって、すべてのデータセンター資産とその相互関係に関するデータを一元的に保存する構成管理データベース(CMDB)を容易に作成できます。
結論:データセンターを自動化する
データセンター自動化には、多くの下準備と準備作業が必要になる場合があります。既存のデータセンターに自動化を後付けするには、数百台のキャビネットと数千台のデバイスについて、メーカー、モデル、電源、ケーブル配線、設置場所の詳細を含むインベントリを作成し、DCIMにアップロードしなければならないことがあります。これは時間と労力を要するプロジェクトになる可能性があります。
DCIMやデジタルツイン技術は高額になることもありますが、投資収益率は高いでしょう。データセンター自動化は、簡単に取り組めるものではありません。大きな成果を得るには準備が必要であり、取り組む企業は慎重に計画を立て、十分なリソースを割り当てるべきです。
詳しくはハイパースケールデータセンターとコロケーションデータセンターの比較をご覧ください。大規模なエンタープライズデータストレージの選択肢について、さらに詳しく解説しています。