オブジェクトストレージは、過去10年間に急増した膨大な非構造化データへの解決策として登場した。
非構造化データは、構造化を重視する従来型データベースで整理するのが難しい。ソーシャルメディア、メール、写真、動画、音声など、現代のデータの多くは非構造化データだ。
オブジェクトベースのストレージは、スケーラビリティや柔軟性といった利点から、こうしたデータをクラウドやオンプレミスでアーカイブ、バックアップ、保持する賢い方法だ。オブジェクトストレージによって、テラバイト規模、さらにはペタバイト規模のストレージへの道が開かれた。
企業やITチームがクラウド・オブジェクトストレージ市場で目にしている主要トレンドをいくつか紹介しよう。
1. 驚異的な成長
数年前にはほとんど存在しなかったオブジェクトストレージが、今や注目を集める存在になっている。
IDCによると、現在、企業がクラウドに保存しているデータ量は、社内に保存している量とほぼ同じで、年間約80 PBに達する。
「今後5年間で、そのデータの80%が非構造化(ファイルベースまたはオブジェクトベース)データになる」と、IDCのアナリスト、Eric Burgener氏は述べている。
「ファイルストレージとオブジェクトストレージの成長の両方に支えられたパブリッククラウドのデータ成長率は、オンプレミスストレージの成長率を上回っていた」
オブジェクトストレージの主要なワークロードは、アーカイブとコンテンツアプリケーションだ。
ユーザーから特に高く評価されているオブジェクトストレージの機能には、高速コンピューティングプラットフォームとの統合、サービス品質、多数の人工知能(AI)ツールやソフトウェアスタックとの統合、フラッシュメディアを活用する高性能ストレージ階層のサポートなどがある。
2. 大規模データの分析
データグラビティの影響から厳格化するデータガバナンスまで、データの増大はクラウド変革に乗り出す組織にさまざまな課題を突き付け続けている。
しかし、企業がリアルタイムの洞察を得てデータをより有効に活用しようとする中で、大規模なデータを分析する能力は依然として最優先事項だと、Pure StorageのCTO、Rob Lee氏は述べている。
その結果、組織はIT環境全体に存在する重要なデータ資産にクラウドベースのデータ分析のメリットをもたらすため、パブリッククラウドとプライベートクラウドにまたがるハイブリッドアーキテクチャを導入するケースが増えている。
例えばPure Storageは、オンプレミスデータでクラウド分析の力を活用する能力を高めるため、同社のFlashBladeオブジェクトストレージをSnowflakeのデータクラウドプラットフォームに導入し、企業がデータワークロードをより細かく管理し、柔軟に運用できるようにしている。
3. ストレージの最適化
ストレージはまもなくゼタバイト時代を迎えようとしている。
IDCによると、世界で保存されるデータ量は2022年に6 ZB近くに達する見通しだ。
1 ZBだけでも、18 TBのハードディスクドライブ(HDD)5,500万台、または最新の18 TB LTO-9テープカートリッジ5,500万巻が必要になる。
これほど大量のデータを扱う中で、適切なデータを、適切な場所に、適切なタイミングで、適切なコストで取得することが、競争優位の鍵の一つになる。そこで重要になるのがストレージの最適化だ。
「複数のストレージ階層、アクティブアーカイブ、オブジェクトストレージ向けの革新的なS3互換アーカイブソリューションを活用した、インテリジェントなデータ管理が必要になる」と、Fujifilm Recording Media USAのテープ・エバンジェリスト、Rich Gadomski氏は述べている。
「これは、デジタル保存やハイパフォーマンスコンピューティング環境で特に明らかになる。そこでは、高価なオブジェクトストレージを、S3互換APIを使って費用対効果の高いテープシステムにオフロードするという、シンプルなニーズがある」
4. ハイブリッドクラウドアーキテクチャの実現
コスト削減と迅速なイノベーションへの圧力が高まる中、組織はパブリッククラウドサービスにおける、より高い俊敏性、柔軟性、効率性を切実に求めている。
非構造化データはITにとって最大かつ最も急速に増加し、管理が最も難しいデータセットであるため、組織はこのデータをクラウドに移したいという強い意向を持っている。
しかし残念ながら、データは光速より速く移動できない。理想的な条件でも、100 Mbpsの接続を介して1 PBのデータをコピーするには3年かかる。接続速度を1 Gbpsまで引き上げても、移行完了まで4カ月以上を要する。
データアクセスコスト、遅延、クラウドに関する専門知識の不足など、ほかの障壁はさておき、移行という問題だけを見ても、大規模なデータセットを完全にクラウドへ移行するのは現実的ではない。
「ハイブリッドクラウドストレージは、プライバシーとアクセスのしやすさを確保するため、機密性が高く頻繁に利用するデータをオンプレミスに置いたまま、コールドデータや非独自データをクラウドに移せる魅力的な妥協案だ」と、Hitachi Content Platform製品マーケティングディレクターのTanya Loughlin氏は述べている。「多くの場合、顧客は従量課金モデルを利用するため、オンプレミスの設備投資を行うよりも、オンプレミスサービスに投資したいと考える。例えば、顧客がデータ(画像、音声、動画)を保有していても、AI、ML、認識システムはオンプレミスでホスティングするには高価で複雑すぎる」
「ハイブリッドクラウドストレージは、プライバシーとアクセスのしやすさを確保するため、機密性が高く頻繁に利用するデータをオンプレミスに置いたまま、コールドデータや非独自データをクラウドに移せる魅力的な妥協案だ」と、Hitachi Content Platform製品マーケティングディレクターのTanya Loughlin氏は述べている。「多くの場合、顧客は従量課金モデルを利用するため、オンプレミスの設備投資を行うよりも、オンプレミスサービスに投資したいと考える。例えば、顧客がデータ(画像、音声、動画)を保有していても、AI、ML、認識システムはオンプレミスでホスティングするには高価で複雑すぎる」
こうしたサービスはクラウドで利用でき、大量のデータをこれらのサービス経由で処理する方がはるかに費用対効果が高い。
すべてのデータをクラウドに移す代わりに、顧客は処理のためにデータをクラウドへ一時的に送信し、結果を得た後でクラウド上のデータを削除できる。オブジェクトストレージは、ハイブリッドクラウド環境でより多くのデータをより速く保存するために活用されている。
5. クラウドの制御
データの大半は機密性が高くなく、頻繁に利用されるわけでもないため、多くの組織は、価値の低いデータを許容できる速度と低コストでクラウドにオフロードすることを選んでいる。
重要なデータや新しいデータについては、書き込みを高速化し、低遅延でアクセスし、セキュリティ、コンプライアンス、ガバナンスを完全に制御できるよう、オンプレミスに保持できる。
しかし、ここで問題になるのが、何をクラウドに送り、何をオンプレミスに残すかをどう制御するかだ。IT部門がファイルデータについて頼れるのが、ディレクトリ構造、ファイル名、最終アクセス日などだけだと、適切なデータを適切な場所に適切なタイミングで配置するのに苦労することになる。
ここで、オンプレミスのオブジェクトストアがハイブリッドクラウドストレージを現実のものにする。オブジェクトストレージは顧客のデータセンターにクラウドストレージをもたらし、容易なデータ保護、信頼性の高いデータ可用性、大規模な拡張性、簡単な管理、従来型ファイルサービスより低いコストという、クラウドストレージに求められるのと同じ機能を提供する。
「ハイブリッドクラウドストレージアーキテクチャに最適なオブジェクトストアには、コンテンツインデックス作成、メタデータ抽出、ストレージ階層化などのツールが組み込まれているか統合されている。これらのツールは、オンプレミスのフラッシュ、ディスク、リムーバブルメディアの各階層だけでなく、複数のクラウドサービスにまたがってデータを自動管理するために必要なインテリジェンスを提供する。つまり、データがどこに存在していても、IT部門がデータを完全に可視化し、制御できるのだ」と、Hitachi VantaraのLoughlin氏は述べている。