ソフトウェア定義広域ネットワーク(SD-WAN)は、企業のさまざまな拠点やエンドポイントを仮想的に接続する。
仮想WANネットワークとして、そのアーキテクチャは、クラウドやLTEブロードバンドなど、さまざまなデータ転送ソリューションを企業が利用し、従業員をアプリやプラットフォームに接続できるようにする。
世界のSD-WAN市場については以下をご覧いただきたい。
詳しくはこちら: ソフトウェア定義ネットワーク(SDN)市場
SD-WAN市場
SD-WAN市場の推定規模は2020年に19億米ドルだった。2021年から2026年までの予測期間における年平均成長率(CAGR)は30.07%と見込まれ、2026年までに約120億米ドルへ拡大すると予測されている。
SD-WAN市場の成長をけん引している主な地域は次のとおりだ。
- 2022年、北米地域は世界のSD-WAN市場の76%を占める
- 欧州市場では、2020年から2026年までのCAGRが32.8%になると見込まれている
- アジア太平洋市場の2019年の市場規模は1億5,000万米ドルで、2020年から2026年までCAGR 60%超を維持すると推定されている
- 2019年には、中国、日本、韓国がアジア太平洋地域のSD-WAN市場の半分超を占めた
業種別に見ると、小売セクターはアジア太平洋地域のSD-WAN市場を最も強くけん引する業界である。市場に深く関わるその他の業界には、次のようなものがある。
- 銀行・金融サービス・保険(BFSI)
- 医療
- IT・通信
- 政府
- 製造
SD-WANの機能
抽象的なネットワーク構造であるSD-WANは、通信において制御プレーンと転送プレーンに分けられる。SD-WANのアーキテクチャは、主に3つのコンポーネントで構成される。
SD-WANエッジ
SD-WANのエッジは、そのエンドポイントを表す。接続対象となるのは、支社やリモートオフィス、データセンター、クラウドプラットフォームなど、さまざまだ。
SD-WANオーケストレーター
ネットワークのオーケストレーターは、仮想的な管理機能を担う。この部分がネットワーク全体のトラフィックとデータフローを監視する。また、ネットワーク管理者が適用するポリシーやプロトコルの実施も担う。
SD-WANコントローラー
ネットワークのコントローラー部分は、管理を一元化する。単一の画面から完全な制御を行い、オーケストレーター向けのポリシーやプロトコルを設定できる。
SD-WANのアーキテクチャは、導入方法と導入場所によって異なる。
オンプレミス型SD-WAN
オンプレミス型SD-WANは、インターネット経由で転送できない極めて機密性の高い情報に適したソリューションだ。すべてのハードウェアを現地に用意する必要があるが、ネットワーク運用担当者は各コンポーネントに直接かつ容易にアクセスできる。
クラウド型SD-WAN
クラウド対応のSD-WANアーキテクチャは、より幅広いユーザーが利用しやすい。このタイプは、インターネット経由でサードパーティー製アプリやクラウドネイティブアプリと統合するのも容易だ。
ハイブリッド型SD-WAN
ハイブリッドモデルは、オンプレミスを基盤とするクラウド対応のSD-WANアーキテクチャだ。このタイプでは、オフラインのバックアップを保持し、ネットワークのトラフィックや容量に応じて、オンラインとオフラインの通信をシームレスに切り替えられる。
SD-WANのメリット
効率的な運用と管理を維持しながらシームレスな接続性を求める企業は、導入形態にかかわらず、SD-WANアーキテクチャを導入することでメリットを得られる。
SD-WANの主なメリットには、次のようなものがある。
- ネットワークセキュリティを強化
- ネットワーク管理のコストと複雑さを削減
- 一元管理によりITスタッフの負荷を軽減
- ネットワーク全体の可視性とアクセスを提供
- 追加コストなしで帯域幅を拡大
「ソフトウェア定義広域ネットワークは、ビジネスプロセス、ひいては最終利益に大きな影響を与え得る」とBusiness Insider Africaは企業にとってのSD-WANの柔軟性について述べている。
「ネットワーク接続は、アジャイルな職場環境を支える柱として扱わなければならない。SD-WANソリューションを利用すれば、組織は将来に備えられるだけでなく、多くの新たなスキルも得られる。優れたROIを実現できるだろう」
SD-WANのユースケース
さまざまな組織が、拡大するネットワークの管理にSD-WANソリューションをどのように活用しているか、その例を紹介する。
McLaren Racing
McLaren Racingは、英国のFormula Oneレーシングチームだ。
現代のカーレースは、データ分析に大きく依存している。コース上の各車両は毎秒大量のデータを生成し、それらを考慮する必要がある。McLarenはNTT CommunicationsおよびVersa Networksと提携し、信頼性の高い高速データ転送にSD-WANサービスを利用できるようになった。
「SD-WANは重要な局面でデータフローをより細かく制御できるため、私たちに優位性をもたらします」とMcLaren Technology Groupのエグゼクティブディレクター、Zak Brown氏は語る。
「また、テクノロジーパートナーが専門知識を生かして成果を出し、最終的にはチームをより速く走らせるという目標に向けて貢献する意欲の表れだと思います」
Versa NetworkのSD-WANソリューションにより、McLaren Racingは毎秒110億件を超えるデータポイントを転送し、ダウンタイムをゼロにするとともに、一元的な制御を実現した。
Zaha Hadid Architects
Zaha Hadid Architectsは、ロンドンを拠点とする建築・設計事務所だ。複数の建設契約により、2020年の企業価値は1億3,000万米ドルを超えると推定された。
世界中の多様な地域の顧客と仕事をする中で、Zaha Hadid Architectsの従業員は、サイト間の仮想プライベートネットワーク(VPN)ソリューションへの接続に問題を抱えていた。そのため、アプリケーションの動作が大幅に遅くなっていた。
同社はAryakaと提携し、オンライン接続全般、特に中国との通信を改善するソリューションを必要としていた。
「Aryaka導入前はパフォーマンス上の問題からまったく不可能でしたが、現在では香港オフィスが英国オフィスとより効果的に業務を行えるようになりました」とZaha Hadid Architectsのインフラアーキテクト、Dane Hawkins氏は語る。
「当社のユーザーは、オンデマンドでアクセスするとリンクを占有し、開くのに時間がかかる大容量ファイルを日常的に扱っています。Aryakaはこの問題を大幅に緩和しました」
同社は、ネットワーク導入以降、25~50%のコスト削減と、エンドユーザーを25%多くサポートできるようになったと見積もっている。
Take-Two Interactive Software
Take-Two Interactive Softwareは、インタラクティブエンターテインメントの開発・パブリッシャーだ。ニューヨーク市を拠点とし、Rockstar Gamesと2Kのブランドで作品を発表している。
パブリックインターネットを利用した全社VPNを構築した後、社内ネットワークのパフォーマンスは不安定で、非効率的かつ信頼性に欠けるものとなった。同社は最終的にSD-WAN-Expertsに相談・協力し、現在の要求を満たすと同時に高い拡張性を備えたネットワークインフラを導入した。
「SD-WAN-Expertsは自分たちの仕事に大きな誇りを持っています。豊富な知識を提供してくれただけでなく、各事業部門がそれぞれ非常にユニークであることを理解したうえで、当社のビジネスを本当に理解するために時間をかけてくれました」とTake-Two Interactive Softwareのグローバル企業インフラ担当シニアディレクター、Frank Cupo氏は語る。
「SD-WAN-Expertsのチームは、ネットワークプロバイダーの選定に伴う複雑さをすべて丁寧に取り除き、最終的に当社に最適なプロバイダーへと導いてくれました」
その結果、Take-Twoのネットワークは高速化し、信頼性が向上し、遅延なく稼働している。現在では、大量のデータを世界中に問題なく転送できる。
SD-WANプロバイダー
SD-WAN市場をリードする企業には、次のような企業がある。
- Cisco
- Fortinet
- HPE
- VMware
- Palo Alto Networks
- Versa Networks
- Aryaka
- Juniper Networks
- Open Systems
- 128 Technology
詳しくはこちら: ストレージエリアネットワーク(SAN)市場